アルテミスＳ

Ｇ１はともかく、この時期の５００万と重賞にそう大きな差はないが２勝馬が５００万を使えるという発想に転換すると、それはやはり有利である。この組み合わせではクリスマス(函館２歳ステークス)とマーブルカテドラル(芙蓉ステークス)が該当する。力関係が判然としない中でこの２頭がまず予想の下敷きとなる。

どちらに重きを置いて比較要素を見出すかだがこれは問題なくマーブルカテドラルだろう。函館２歳ステークスは完全にローカルの域を出ない括りで極稀にアンブロワーズやフィフスペトルのような当たりもいるが基本的には早熟短距離馬の運動会。距離もあの前向きな一本調子の走りでは到底持つとは思えない。しかも３か月半の休み明け。これに武豊を乗せて有り難がっている方がどうかしている。

マーブルカテドラルの前走は先行集団を見る形で道中５番手につけ、直線半ばではイオラニをそのまま逃がすのかという感じだったがゴール前でしっかり捕らえた。機動力で上手に立ち回り、急坂をパワーでもうひと伸びしたあたりがさすがにダイワメジャー産駒。

あとはイスラボニータ(いちょうＳ)ピークトラム(デイリー杯２歳ステークス３着)ウインフェニックス(いちょうＳ２着)マイネルメリエンダ(野路菊Ｓ３着)アポロスターズ(カンナＳ１着)など上のクラスでも次々と好走馬を送り込んでいる新潟２歳ステークスでの５着が光る。前崩れを先行勢で最先着に踏ん張り、大接戦の２着争いに残しているのだから中身は濃い。

順当にマーブルカテドラル本命の線が無難だが、ダイワメジャー×ヘルスウォール(父エリシオ)の配合で東京重賞をしっかり料理できるかが怪しい。新潟２歳ステークス同様に最後甘くなって、斬れ味のある馬に差されてしまうのではないか？そういう結末が頭をよぎる。しかも中４週で時計２本と調整に苦心した様子も窺えるので実績馬も決して万全ではない。

伏兵評価のディープインパクト産駒◎ミュゼリトルガールが人気のダイワメジャーを差す。ディープと母父Storm Catの配合はキズナ、アユサン、ヒラボクディープ、インパラトールなど現３歳世代で一世を風靡した名ニックスで先週の評判馬が揃った新馬でもラングレーが勝ち上がっていたように依然として勢いは衰えていない。

ミュゼリトルガールは母父にUnbridled's Songを挟んで母母父にStorm Catが入る血統構成。ディープ×Storm CatのポイントはWar RelicやWar Admiralなどのパワーを増幅する血でUnbridled's SongはIn RealityとCaroを通じるWar Relicの薄いクロスでこれがStorm Catの内包する一番パワーのあるEight Thirtyと刺激し合って能力の底上げに一役も二役も買っている。順番は逆でもやっている事はキズナやアユサンと同じ。

Unbridled's SongがＢＣジュべナイルを勝つなど完成が早かったようにその血は２、３歳戦向きで昨年後半?今年前半に活躍したエーシントップの母父でもある。新馬は好スタートから２番手を追走しソツなく抜け出すセンスある内容。サフラン賞は馬任せで進めて、差す競馬。道中は馬込みで揉まれたり、直線は仕掛けが遅れるなど色々あったが収獲の多い３着だった。コースは経験済み、戦法の幅も広がったし、１ハロンの延長も好材料。良馬場の今回は存分に瞬発力を発揮する。

パシフィックギャルの母アイランドファッションは米の7F?10FＧ１を３勝した馬で04年の安田記念に出走した経験もある。Seeking the Gold×Danzig系だから日本の芝への適性も十分。かなり奥になるが母母Danzigs Fashionがナスキロ配合になっているからゼンノロブロイが走るパターンは踏襲している。ちぐはぐだった芙蓉ステークス(３着)からの巻き返しが▲

ハッピーベリンダは後方から追い込む競馬が続いていたが３戦目の前走を先行押し切り勝ち。中盤も極端に緩まなかったペースから上がり3F11.7-11.3-11.9で２馬身差抜けたのは上々。学習能力が高い。この牝系はエイシンテンダーやマイネルシーガル、エイシンアモーレなど活躍が早いし期待はできる。ＳＳの血がないことや鞍上弱化で人気を落とすなら是非△には一考したい。

サフラン賞は不利が重なって２着に敗れたニシノミチシルベはニシノフラワーの孫でニシノマナムスメの甥という血統。タイキシャトルもレッドスパーダやウインクリューガーなどマイル重賞を勝つ馬はいるがさすがに母父が完全傍流のセイウンスカイではＳＳ系に太刀打ちするのは厳しい。内枠から余程スムーズに運んでも３着が精いっぱいだろう。