京王杯２歳Ｓ

◆ナスキロで差すダイワメジャー
ランペルティーザ(４勝)はトワイニング×リヴリアの米血脈で固められ、Never Bend[3×4]やテスコボーイの持つPrincely Giftから成るNasrullah主体の血統構成だったからスピード偏重のダート短距離馬に出ていた。そこに柔らかいサンデー系を配合し、同時にRivermanのナスキロも表現されたのが芝でも斬れるランパスインベガス(父フジキセキ)やラブリープラネット(父ダイワメジャー)。

ダイワメジャーにナスキロはカレンブラックヒル(ＮＨＫマイルカップ)エピセアローム(セントウルＳ)ダイワマッジョーレ(京王杯ＳＣ)などと一緒で配合としては正解の方向性。あとはどの程度に父系のスピードや底力が伝わって、母系のダート的主張を抑えられるかが重賞戦線を勝ち負けしていけるかのポイントになる。

デビュー２戦がいずれも時計の掛かる馬場だったのでまさに良馬場への耐性が鍵を握るが、新馬戦は外からの差し切りだったし、小倉２歳ステークスも道中控えて、内を突く器用な競馬していた。折り合いなど考えてもスピードごり押しタイプではないし、追って味があるから東京の1400mに替わるのは好材料。はっきり言って小粒な顔ぶれでキレキレの脚を使う馬もいないから完成度の高さで順当にＶ最有力だろう。

◆マイネルレーニア、エーシントップに通ずる前進気勢
グラスワンダーはRobertoのパワーと捲り脚質にHyperion(Lady Angela)を増幅させ、全体的な底上げを図れるノーザンテーストを抱える牝馬との相性が良くて、アーネストリー、サクラメガワンダー、マルカラスカルなど産駒の賞金上位馬は揃ってLady Angela[6×5]その最高傑作が小回りを粘りっこく立ち回る戦法、成長力に加えてサンデーサイレンスから潤沢なスピードを受け継いだスクリーンヒーロー。

とくに４歳秋のアルゼンチン共和国杯や斬れるダービー馬のディープスカイ、ウオッカを封じたジャパンカップでは速い脚が使える馬に先行されて手が出ないというまさに競走馬の完全形態を実現した。有馬記念もマツリダゴッホに追撃捲りされなければ２着はあったと思っている。配合的に振り切った感が満載のスクリーンヒーローから大物を再びと銘打つならば“天丼”しかない気がする。

モーリスはカーネギーのRivermanでナスキロの柔らかさを、そしてモガミのハイインローで粘り強さをという組み合わせで水準以上の斬れと機動力を兼備しており弱点は少ない。

京都1400mの新馬戦は好位から抜け出し「1分20秒6」のレコード勝ち。同日の久多特別(古馬1000万)と同タイムで稍重ではあるがスワンＳよりもコンマ２秒速い。スワンＳを逃げ切ったコパノリチャードも時計の裏付けありで同コースの新馬を勝利した経験があった。比較上は実質500万レベルのここで躓く器ではない。現状気性面で将来的に不安はあるが前向きなスピードだけで押し切れてしまうのが２歳の短距離重賞。

◆長めファイアーフロート
クインズハリジャンはモズ(札幌２歳ステークス３着)の全弟でゴールドティアラの甥。兄はSecretariatのクロスなど素直に母系の血が効いて、洋芝など力の要る馬場専用機になってしまったが母ベストブートはStorm Cat×Danzigでナスキロだからサンデー系と合わせれば割とバランスは取れる。スペシャルウィークだから1800mくらいが理想的だが直線の長さは魅力的。この中間の攻めが更に良化しているし単穴候補。

ルミニズムのゼンノロブロイ×ジェイドロバリーはコスモロビンと同じでMr. Prospector[4×3]＋Northern Dancer＋ナスキロはトレイルブレイザーと似た配合。ただWar Admiralのクロスが絡む分、ややパワーに寄っており、重の新馬戦快勝はそれも有利に働いたか。ゼンノロブロイらしく優等生の及第点。

アポロスターズは当レースに強いMr. ProspectorとDanzigの配合。ただカンナＳのように差すなら上がりが掛かって欲しい。

マイネルディアベルは母系がHyperionの塊とHornbeamのクロスでそこに帝王賞２着など地方のダートで活躍したナイキアディライトだからスタミナに任せてひたすらダラダラと脚を使うイメージ。くるみ賞は東京お得意の雨上がり内速乾馬場の恩恵をフルに受けた。道悪の中山1800?2000mがぴったり。

カラダレジェンドはナスキロ血脈豊富なフレンチデピュティ産駒でレジネッタやアニメイトバイオのように柔らかくしなやかに斬れる。連闘策がどう転ぶかだが穴に一考も。