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2013/11/08 21:00
ファンタジーS
京王杯2歳Sの閑散ぶりとは対照的に、18回目にして初のフルゲートでおこなわれるファンタジーSの大盛況ぶりが2歳世代における牝馬の層の厚さを証明しているのかもしれない。面白い一戦になりそうだがキャリアの浅い馬ばかりで非常に難解。予想の手掛かりを掴むのにも苦労する。
人気必至のエイシンオルドスやエルノルテなど4頭を送り込んでいるりんどう賞は内外回りの違いこそあれ同じ京都1400mで優位性はあると思いきや過去10年でこのローテは【1-3-1-27】勝率はわずか3.1%。人気になって飛ぶケースも多く回収率の面からしてもまったく妙味はない。
しかも今年のりんどう賞は前半3F34.9-4F47.3-5F59.5と中盤緩んで、正味上がり2Fのレースをエイシンオルドスは位置取りの差で押し切っただけで内容に見るべき点は特にない。「1分22秒2」は過去10年の良馬場では3番目に遅く、これよりも劣った05年は通用していないし、04年はモンローブロンドが2着しているが新馬勝ち直後のラインクラフトに4馬身ちぎられている。スローを差し損ねた形のエルノルテも人気しているがレースレベル自体を疑えば他のステップを踏んできた馬の台頭は難しくない。
混合重賞を2戦経験しているモズハツコイに覚醒期待の◎をうった。キャリア5戦はウメと並んで最多タイだが中身は圧倒的にこちらの方が充実している。逃げ切って初勝利を挙げた2戦目の勝ちタイムはグランシェリー(今回出走)の勝った同週の中京2歳Sをコンマ2秒上回る記録。しかもスローペースを差したグランシェリーに対して、モズハツコイは自ら淀みない流れに持ち込んで後続の追撃を凌いだのだから価値がある。
新潟2歳ステークスは8着だったが、このレースの質は言うまでもない。ききょうSは1番人気を裏切ったが飛ばしているように見えた前2頭が実はスローの前半3F35秒6で動くに動けず離れた3番手で蓋をする格好。直線懸命に脚を伸ばすも3着までが一杯だった。
デイリー杯2歳ステークスは直線に入って一瞬伸びかけたが序盤に鞍上がなだめる仕草をしていたように少し行きたがった分、ラストは止まって6着(0秒9差)。レコード決着でスピード負けした感もある中で自身も1分34秒1で走破しているのだから能力は示している。
これだけの戦績を携えて臨む牝馬限定戦。色気は当然ある。しかも1ハロン長いG2で厳しいレースをした直後の距離短縮だ。ダート志向の強いレースでクロフネ産駒は07年1着オディール、09年2着ベストクルーズ、10年1着マルモセーラ、3着ホエールキャプチャなど大暴れしており適性もどんぴしゃ。出発点でアタマ差及ばなかったエルノルテはその後呑気に構えてりんどう賞4着にも関らず人気になろうとしている。今こそこの4か月の成果を発揮し、血統格差を覆す時だ。
相手筆頭はグランシェリー。中京2歳Sは◎の未勝利以下という見方をしたが時計はあくまでレース全体の指針のひとつ。早い時期とはいえグランシェリーは初めての芝で結果を残したわけだから評価すべきだ。父はこちらもアドマイヤムーンやケイムホーム、アグネスデジタルと当レースと相性抜群のミスプロ系のアルデバラン。休み明けになるが先週の坂路で4F51.1を叩き出しており、仕上がりは良好とみていい。
モズハツコイを実際に負かしているエルノルテが3番手。りんどう賞は久々でテンションが高く後方で掛かるなど能力全開とはいかなかったが絶望的なポジションから0秒2差4着まで詰めたのはさすがの脚力だった。ガス抜きは出来ただろうし、今回はメンバー的にもHペース必至で末脚が届くシーンも十分。
メイショウアサツユは新馬戦で完全な斬れ負けだったが主導権を握った未勝利は鮮やかに完勝。「1分21秒2」は前日のりんどう賞より1秒も上でスピードはヒケをとらない。この馬もイーブンペースに近いラップ向きだから重賞でも侮れない。
以下ファイングレインの半妹にあたるM.デムーロ騎乗のノボリレジェンド、少しパワーの血が野暮ったいがクロフネ産駒のアドマイヤビジンにも注意。エイシンオルドスとベルカントは行く馬が多く先手が取れなかった時が不透明だけに割り引き。