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2013/11/17 08:00
マイルCS
スプリント路線の地盤沈下はロードカナロアやカレンチャンの登場により終止符が打たれたが依然として深刻なのがマイル路線。スプリンターのロードカナロアと中距離馬のショウナンマイティが上位に競演した安田記念が象徴的だった。古くはニホンピロウイナー、ダイタクヘリオス、オグリキャップ、タイキシャトルと紡がれてきた名マイラーの系譜は風前の灯。
マイルCSも天皇賞(秋)などから参戦する別路線組が一枚落ちのメンバーを狩る光景がやけに目立つ。マイルの距離が時として異種格闘技戦の場になるのは昔からのことだがここ数年はまさにカオス状態。しかしこの混沌とした状況がデフォルトになりつつあるから、もはやカオスとすら表現するべきではないのかもしれない。
純粋な名マイラーと呼べるのはデュランダルが最後ではないか。いや名剣の切れ味で03&04年を連覇したのがデュランダルなら、徹底した横綱相撲に類稀な底力、抜群の勝負強さで06&07年を連覇したダイワメジャーを忘れてはいけないだろう。
ダイワメジャーは皐月賞や天皇賞(秋)を制覇し、有馬記念でも2年連続3着するほどの馬だったからカテゴリー的にはやはり実力が抜けていた中距離馬のマイル参戦だったのかもしれないが今振り返るとマイラーの枠を飛び越えて活躍した超ヘビーマイラーだったとも思える。それほど先行して自ら前を競り潰しにいく競馬は迫力があった。
マイル界最後の統一から6年の月日が流れて、送り込まれた父の最高傑作。レース名にふさわしい正真正銘のマイル王者の誕生を願ってコパノリチャードのG1初制覇に◎をうつ。ダイワメジャーも古馬になるまでは才能だけで走っていたように本当に完成するのは来年以降になるはずだがこの天性のスピードをほっておくわけにはいかない。
スワンSは渋って少し時計の掛かるコンディションで前半3F35秒3のマイペースに持ち込めたことが最大の勝因。コパノリチャードに味方した材料が多かったのは確か。それでも制御が効かず、操縦性の部分に不安を抱えていた馬が折り合いに進境をみせて走れたのが春からの歴然とした成長。それが直線での余力を残すことになり、極端にラップを落すことなく上がり3F11.2-11.1-11.7でまとめられた点からも伝わってくる。
NHKマイルカップは前半3F34秒4-4F46秒1-5F57秒8の緩みない逃げで息が入らず苦しい展開になってしまったがラスト3F目で11秒3と加速して11秒6-12秒0。東京だと11秒3の地点は4角から直線序盤で逃げ切るために無理をするとさすがに息がもたない。
ただ京都の残り3F?2F目は下り坂で自然と勢いがついて加速できる地点。スタートからガンガン絡んでくるような馬はいないし前半うまく息を入れればこの下りを利用したスパートが決まる公算が高くなる。3戦3勝の平坦京都は合っている。3歳の1月で古馬重賞に匹敵する時計を叩き出したスピードは脅威。小さくまとまるような事はあって欲しくない。
4代母にあたるシンティレートは英オークス馬でその半姉Juliette Marnyも英オークスと愛オークスを制しており、半兄Julio Marinerも英セントレジャーの勝ち馬。70年代の欧州で輝きを放った血統にBlushing Groom、Caerleon、トニービンと配合され、熟成されてきた母系の底力は当然G1でも通用する。
得意の京都で一気の距離短縮。生涯最高の勝負手をうってきたトーセンラーは例年の天皇賞組に相当する実力を持っているが、怖いのは休み明けの毎日王冠で3着した○クラレント。負けたのはジャスタウェイ、エイシンフラッシュだからプレ天皇賞と言っても差し支えない。先行押し切りの型が板についてきたし、これが当面の強敵。
▲ダイワマッジョーレはHペースの安田記念こそ伸びを欠いたが京王杯SC優勝やスワンS2着などこの路線では高値安定。切れ味が活きる平坦の方が合いそう。
△サダムパテックは休養明けのスワンS3着。不完全燃焼だった春から立ち直った。衰えてはいないし、昨年同様の白帽だからうまく脚を溜めて捌ければチャンスはある。
富士Sが負け過ぎなのであんまり強気にはなれないが大穴ならサンレイレーザー。マイラーズC「1分32秒7」エプソムC「1分45秒8」の内容はG1でも上位にランクされるだけの能力を示している。デキはいいし見所はあるはずだ。