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2013/11/30 00:00
ステイヤーズS
3年連続7回目の出走となる11歳馬トウカイトリックが連覇しても全く違和感のないメンバー構成。11年の勝ち馬マイネルキッツ、07年2着&10年3着ネヴァブションの10歳古豪コンビも健在。この2頭の同窓はすでに種牡馬デビューしているアドマイヤムーンやメイショウサムソン。トウカイトリックに至ってはディープインパクトの産駒と互角に渡り合っているのだから感嘆の一言。
そのディープインパクト産駒の4歳馬エックスマークから入りたい。2歳の頃から素質を高く評価されていたがエンジンの掛かりが遅いなど不器用さが災いし初勝利が3月の中京、2勝目も12月の阪神と出世とは程遠い道のり。それでも馬体を増やしつつ、日々の稽古で筋力をつけてきた成果が今年から確実に発揮されてきた。
睦月賞は前半5F63秒9の超スローを出遅れて向正面10番手の位置取りだったが3角で進出を開始すると直線は上がり3F34秒3の末脚で先行勢をまとめて差し切る強い内容。準オープンは競走中止を含めややモタついたが降級した3か月ぶりの阿賀野川特別を中団前目につける脚質の進境をみせつつ順当に勝利。
連勝となったレインボーSもスタートでやや促し、先団が見える内のポジションを確保。馬群が密集して4角から捌きにくいシーンがあり、直線に入ったところでは手応えも劣っていたがスペースが空くと猛然とスパートしゴール前3頭接戦の末に競り落とした。勝ち時計は平凡だったが上がり3F11.8-11.5-11.3の加速ラップを抜けたのは褒められる。
アルゼンチン共和国杯は道中後方でじっくり運んだが直線は前が詰まり通し。「一気にギアを上げることができないタイプ」と陣営が話しているようにブレーキから立て直すのに時間を要すため痛い不利となる。ただ重賞初挑戦にして0秒9差7着。しかも最後まで伸びているし、昇級で55キロだったのもそれだけ実力を買われているからに他ならない。
ディープインパクト自身は絶対的な能力で天皇賞(春)を圧倒したりしているが産駒は基本的にスピード型が多い。ただ母系に従順な面があるので昨年2着したファタモルガーナ(母父エリシオ)のような存在も配合次第では不思議ない。
エックスマークの母父Acatenangoは独ダービーやサンクルー大賞など現役時代にG1を6勝したドイツの名馬で日本では95年のジャパンCで優勝したランドの父として名を馳せた。種牡馬でも5度のリーディングサイアーに君臨している。
その産駒であるショアーの競走生活は2勝したのみだが半弟が3歳時独ダービー、4歳時にBCターフ、5歳でコロネーションCを制覇したShirocco。5歳の凱旋門賞ではディープインパクトと戦っているのだから縁が深い血統だ。未知の3600mを危惧する声もあるが母系の土台は豊富なスタミナと持久力である点に注目したい。中3週でもこの中間は加減なく攻められて、今週は馬也に手控えられたが3頭併せで角居厩舎らしいハードな調教内容。今秋3戦目で万全の仕上がりになったとみる。
堅いがコスモロビンとデスペラードが相手本線。コスモロビンは母母父Silver Hawk以外に長距離をこなす資質を見出せないが東京2500mの重賞で何度も着を拾うのはステイヤー適性の高さを証明している。中山は重馬場の日経賞4着など成績も残しているし内枠も絶好だ。
デスペラードは昨年の当レースで向正面から無謀なまでの捲りを仕掛けて最後までもたせたほど強靭な体力の持ち主。阪神大賞典(2着)以降は東京、京都2戦ずつで不向きな条件だったからここは素直に評価を修正しておきたい。
トウカイトリックも昨年以上に状態は良さそうだが4番手はあえてマイネルキッツにしておきたい。年齢と共に調教の動きも芳しくなかったがアルゼンチン共和国杯後も珍しく順調で南Wで3週連続の一杯を消化するなど精力的。春も天皇賞7着や日経賞5着しており、まだまだ衰え知らずの一頭だ。