シンザン記念

◆クラシック仕様への転換
オッズはミッキーアイルの一強を示しているが９割８分はウインフルブルームで当確だろう。枠順が逆ならば少し考えなくてはいけなかったが願ってもない最内枠を引いた。朝日杯ＦＳの前半３ハロンが「35秒1」ひいらぎ賞が「35秒3」いつもの好スタートからスピードを持続させればＡコースの京都では止まりようがない。

しかし１着での賞金加算は最低条件として今回は勝ち負け以上に内容に深みをもたせなければならない。なぜならばクラシックを控えているからだ。マイラー血統のミッキーアイルに対してウインフルブルームはスペシャルウィーク×サクラユタカオー×ノーザンテーストで真価発揮は距離が伸びてこその配合だ。

ただ現状は芳しくない。高い身体能力に心が追い付かない。溢れるスピードをコントロールするために大切な気性の面に不安がある。千両賞の上がり３ハロンを11秒1-11秒4-11秒7でまとめ「1分33秒9」は２歳馬としては驚異的な芸当(現に３馬身差置き去りにしたアズマシャトルはラジオＮＩＫＫＥＥ杯で２着)

朝日杯ＦＳも鬼門の外枠で対抗に落としたが一番期待していたのはウインフルブルームの走り。３着は不満だが中１週を考慮すれば及第点は与えられる。問題はここから。クラシックを目指すのであればマイラーの競馬から脱却する必要がある。仮に今のままではＮＨＫマイルＣも難しいかもしれない。

淡々と一息で走るのではなくペースに緩急、メリハリをつけて道中でタメを利かせることだ。それが直線でのもうひと脚に繋がる。幸いにも快勝した千両賞の前半４ハロンは「47秒8」修正は可能だ。重要なのは自分の体内時計で一定の呼吸を置くことだ。それさえ出来れば早い話が逃げでもいい。

朝日杯ＦＳで残念だったのはハナに行けない場合の対処を施すチャンスだったのに鞍上がはっきりしなかったことだ。緩みない流れを嫌って一度下げたのは正解だったが４角手前からわざわざ先団にとりついたのは謎。ペースの上がる局面で脚を使ったのが２着も逃した原因。腹を括って差し脚に賭ける手もあったはずだがあの辺りが和田騎手の弱さだ。ただあの流れを強引に勝ちに行かなかった気持ちは汲みたい。

父のスペシャルウィークが属するシラオキ系ほどではないが母方も輸入の５代母ロイヤルアグリーメント(英８ＦＧ１クイーンアンＳ２着)から時間をかけて育まれた牝系。３代母シャダイアグリーの全妹グローバルダイナは宝塚記念とエリザベス女王杯３着。天皇賞春２着のサンライズジェガーなど派手さはないが渋い底力を生む土壌だ。

◆鋭さもあるフランスの名血
ひいらぎ賞を[47.4-46.8]＝「1分34秒2」のミッキーアイルは現実に朝日杯ＦＳの時計をコンマ5秒上回ったのだから評価が鰻登りも無理からぬ話だが前半の流れやラスト２ハロン目の11秒1からすれば強力な逃げ馬というよりはやはりディープインパクトの斬れるマイラーだなという感じ。

祖母のアイルドフランスは仏G１のマルセルブサック賞２着のマイラーでそこに欧州屈指の名マイラーのロックオブジブラルタルをつけて誕生したのがダ1000mで２勝のスターアイル。ディープは繁殖に忠実だからもはやクラシックでの出番は皆無に近い。ミッキーアイルは好位差しを覚えた時こそ本物。分が悪い外枠から不毛な逃げ争いで一戦無駄にするなら控えてみるべきだ。

◆スケールの大きさが魅力
タガノグランパはキングカメハメハ×スペシャルウィークの配合で同世代のクラリティシチーと同じ。２頭とも母母父が米血脈だがオジジアンのクラリティシチーよりBlushing Groom系のグルームダンサーでナスキロのMill Reefを持っているタガノグランパの方が血統総合点は高い。祖母タガノターキンの半弟は藤田に故障さえなければ３冠いけたとまで言わせたタガノテイオー。ラジオＮＩＫＫＥＩ杯５着の粗削りなレースぶりを見ても素質だけで走っているし、将来的に面白い存在だ。

モーリスはスタミナ豊富なメジロ一族出身のメジロモントレー(アルゼンチン共和国杯など中長距離重賞４勝)の孫だからステイヤーになってもおかしくないがスクリーンヒーローはよほどスピード主体の配合になっている母系の支配力が大きいとみえる。外からどこまで差して来られるか試金石。

アグネスミニッツはスティルインラブの牝系でRoberto３×４。アグネスタキオンが母父で少しは重さが中和されているが小回り向きのグラスワンダー産駒。

ワイレアワヒネはタイキシャトル×マーベラスサンデーでHalo３×４だから脚捌きの軽い短距離馬の印象。阪神のマイルを豪快に差して勝っているがどちらかと言うと阪神1400向き。今回は１戦１勝の牝馬には荷が重い。