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2014/01/19 12:00
京成杯
年が明けて3週目。徐々に春を見据えたクラシック候補生たちの動向も決まってきた。14年世代は2歳戦を通して質・量ともに牝馬中心に認められ進んだ。一方で牡馬に与えられた評価は芳しくはない。しかし本当にそうだろうか。東京スポーツ杯2歳Sは歴代1位の「1分45秒7」ラジオNIKKEI杯の「2分04秒3」※稍重※も翌日の古馬1600万「2分03秒0」と比べれば合格点以上だ。
そもそも牡馬より牝馬が優位説は夏場の重賞に関する出来、不出来の問題に端を発している。短距離の番組が軸となる2歳序盤における戦いの集大成を01年以降ワースト2位の時計で決着した朝日杯FSと位置付けるのであればすべて合点がいき、この路線と関与していない馬たちに対しても同じ尺度でレベルを図ろうとするのは愚問だということがわかる。
若干眠りが深く目覚めが悪かっただけでこの世代の牡馬勢は思われているよりずっと高い次元で火花を散らしてくれるのではないかと感じている。シンザン記念でミッキーアイルが早くも既成のマイル路線の評価を綺麗さっぱり塗り替えたようにまだ判然としないクラシック路線の輪郭がこの京成杯が終わった後にでもはっきり見えてくるかもしれない。
この路線においてはまずラジオNIKKEI杯の1、3着馬を輩出している東京スポーツ杯2歳Sが物差しとなっていく可能性が高い。とりわけ世代トップクラスの器ラングレー(父ディープインパクト×母父Storm Cat)がこの厳寒期に中山2000mに出走してくる意味である。瞬発力に秀でた血統、大きなストライドはいずれも冬枯れの中山とは相反する適性の持ち主だ。
緻密な計算の上に成り立つ勝算か、はたまた春から逆算した結果の時間的猶予か。もちろん頭脳派の指揮官の胸中は皐月賞への戦略。格式低下が顕著な1冠目へのリスペクト。これがひいてはその先にある3冠への挑戦状になる。折り合いに爆弾を抱えていたディープブリランテが迷わずダービーを選択し、成功した時に似た強気な決断大いに結構。「負け戦はしない」その心意気を買いたい。
キャリアが浅い中で不透明な中山への対応が問われるのは決して楽ではないが東京スポーツ杯2歳Sで直線苦しくなったところから鞍上の叱咤で盛り返した根性は見逃せない。戦乱の世を勝ち抜く底力の片鱗をみた。ホープフルSを勝ったエアアンセムの2着が新馬で負かしたベルキャニオン、3着が東京スポーツ杯2歳S3着のクラリティシチーだからラングレーの立ち位置は自然と浮かび上がる。
ただそれはあくまで2か月前の能力を下地とした鮮度の落ちた過去における比較だ。年末にしがらきでの放牧から帰厩し「仕上げに手がかからないタイプ」と陣営のコメント通り本数こそ平均的だが一週前にポリトラックで終い重点に負荷をかけると今週は坂路で加速ラップを踏む充実の内容。春への展望を重ねつつ実戦での成長を確認したい。
順当ならプレイアンドリアルの評価を上げるべきだが朝日杯FSの引っ掛かり方を見ると中距離での走りは想像がつく。これなら当面の強敵はエアアンセム。ホープフルSは通ったコースの差もあったがゲートを出たなりで道中を運び、勝負所の反応も上々でレースの巧さが目立った。G1馬エアメサイアや中山重賞に強かったエアシェイディの甥にあたる良血。シンボリクリスエスの弱点がしっかり補われている。
ピオネロは過去3戦異なる競馬場で2勝。阪神の新馬(1800m)は上がり33秒4の末脚で外一気。百日草特別は直線半ばで先頭に立つと長くいい脚を使っての押し切りとセンスの高さが光る内容。唯一敗走となった札幌2歳Sも異常な馬場で参考外だし、向正面から動いて4着に粘るなど力を感じる。亜2000mG1を2勝している母にネオユニヴァース×ハイインローの形だから断然中山の前受けが合う。
ウインマーレライはマツリダゴッホ×Fusaichi Pegasusでやや硬さが気になる配合も祖母Shorwonの持つナスキロで芝向きの柔らかさがある。小回りをパワー捲りがぴったりの血統だし発馬互角なら上位を狙える。
スティンガーは産駒に鋭い切れ味を伝えたり素質自体は高いが成長力に欠けて貯金だけで走る傾向にあるのが難点。キングズオブザサンは父がチチカステナンゴである点からもクラシックに関して疑問符はつく。葉牡丹賞の「2分00秒8」は強いが重賞の今回が試金石。
同じチチカステナンゴなら最内を引いたホルボッシュに食指が動く。半姉が秋華賞馬のブラックエンブレムで割りと仕上がりの早い血統。寒竹賞はラストで捕まったが前半5F60秒5で中盤以降ピッチを上げているから中身は優秀。好位で競馬できれば一角崩しも。