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2014/02/09 14:00
きさらぎ賞
質を保ちつつ平均点上の産駒を常に送り出すのがサンデーサイレンス系なら、突如として図抜けた爆発力を秘めた怪物的異端児を産み出せるのがNorthern Dancer系の強み。年間の勝利数などはディープインパクトに遥か及ばないホワイトマズルだがアサクサキングス、イングランディーレ、ニホンピロアワーズ、シャドウゲイト、シルポートなどオールマイティーで活躍馬を輩出するポテンシャルがある。
彼らはある意味常識破りの存在でもあるから優等生が束になっても敵う目は限りなく下がる。「打率は低くとも飛距離、決定打」が魅力。それがホワイトマズル。
【きさらぎ賞】はトーセンスターダムとの一騎打ちムードが濃厚の見方が大勢を占めているが果たしてそうだろうか。あくまでバンドワゴンの引き立て役に過ぎないのではないだろうか。すでに形が整ったものに手を加えるのはなかなか難しいものだがイビツな姿格好は削り方次第で可能性は無限に広がる。それがトーセンスターダムとバンドワゴンの立ち位置。
決して美しいとは言えないブレブレの走法でワンペース型のように見えるが新馬、エリカ賞の2戦とも飛ばしているわけではない。大きな完歩と体全体を使った躍動感あるフォームがそう見せている。新馬戦(阪神1800m)は[5F62.0-上がり3F11.4-10.9-11.2]エリカ賞が[5F62.1-上がり3F11.7-11.3-11.6]だから緩急のついたメリハリのある走りができる。
ホワイトマズルの成功配合のひとつであるサンデーの血を持たないが母父Unbridled's Songはミスプロ系で米2歳重賞勝ちがある祖母キャリアコレクションはナスキロの継続クロスがあるし柔らかさが十分にある。
良い意味でだらだらと長くいい脚を持続させていたアサクサキングス、イングランディーレのようなステイヤーでもないし、シャドウゲイトやシルポートのようなワンペース型でもない。かと言って斬れ味に特化したシンゲンやビハインドザマスクのイメージからも外れる。
独特の力強さは同じNorthern Dancer系でもメイショウサムソンやテイエムオペラオーが属するサドラーズウェルズの系統を喚起させる。従来のホワイトマズルの枠を越えた総合力に優れたクラシック候補と考えて差し支えないだろう。
若駒Sで3連勝を達成しこの世代の軸になりつつあるトゥザワールドを新馬でちぎっている比較からもバンドワゴンの独壇場まであっても不思議はない。当然先を見据えた仕上げで中間の調教からも八分程度だが断然人気に応えるだけの性能を備えた大器だ。
対抗視されるトーセンスターダムはラシンティランテの半弟でトーセンジョーダンやトーセンホマレボシの甥。京都2歳Sは上がり3ハロン11.6-11.3-11.6を直線だけで外から差し切った一方で前半引っ掛かり気味だったように良くも悪くも血統的な特徴が随所に出ている。
ディープインパクトは京都1800mで圧倒的な成績を収めており、12年には上位を独占しているが全滅した昨年のようなケースも起きる。トーセンスターダムは“差せるディープ”だが相手がちょっと悪いし、最大の武器である決め手が渋った馬場に封じられると今回は2着までか。
逆に3番人気のサトノルパンは“差せないディープ”。前走の未勝利は4角13番手から豪快に突き抜け、2着に3馬身半差の快勝だったがサンデー系×Lyphard なのでリディルやクラレントのように先行前受けがベスト。差している内は重賞だと苦戦。
ピークトラムは割りと万能にこなす対応力の高いチチカステナンゴだがやはり斬れ味は足りない。ただ叔母にエルフィンSで狙ったレッドオーラム(5着)がいるように時計の掛かる馬場でじわじわ脚を伸ばせる血統。岩田なら確実に先行だろうし積極的な競馬で食い込み。
ブラックカイトは重賞を4勝したワコーチカコの孫で母系はトニービン+ナスキロだからサトノノブレスに近い配合で少し面白い。父のブラックタイドは10年前の2着馬(勝ち馬はハーツクライ)で産駒のシャイニーガールが土曜のエルフィンSを制すなど今の馬場は合いそうだが2走前サトノルパンに完敗の競馬を踏まえると3着マークが一杯か。