共同通信杯

◆甦る雑草魂の記憶
Robertoの系統は一時代を築いたブライアンズタイムに代表されるようにアタリハズレの振れ幅が非常に大きいが最近だとウオッカ、スクリーンヒーロー級、古くはナリタブライアン、グラスワンダー、シンボリクリスエス、そしてタニノギムレットなどその飛距離はサンデー系を凌ぐとも言える。

Roberto系の出世ホースに共通するのは天井なしに秘める爆発的な成長力、舞台が大きいほど燃えたぎる闘志、叩き上げで鍛えられる勝負根性。無敗の記録や優等生とは無縁。皆、挫折や失敗から這い上がって成功を掴んでいる。またまた古いが雑草魂を最大の原動力としているのがこの泥臭い血統だ。

ハギノハイブリッドはタニノギムレット×トニービン×サンデーサイレンスの配合。タニノギムレットの活躍馬にトニービンが混ざっていないのが意外だったが未だに影響力の強い馬の干渉が悪いはずもない。サンデーとの組み合わせではスマイルジャックやアブソリュート、オールザットジャズなど実績は十分だからプラスアルファを望みたいところ。

三代母がレガシーオブストレングスでスティンガーやアーバニティ、フローテーションらＧ１好走馬と同牝系。祖母サイレントハピネスも芝2000m重賞で２勝を挙げ、中山記念ではサクラローレル、ジェニュインに次ぐ３着。繁殖としてもサイレントメロディを産んでおり血統的ポテンシャルは相当。

タニノギムレットが抱えるGraustark[4×5]が配合の軸なのでクロスは煩くなると難しいが母、祖母ともに５代アウトだから父方が存分に采配を揮える。デビュー４戦目で急に覚醒し、昇級でも即通用したようにしっかりRoberto系の特徴が見えている。調教量が豊富なマツクニ厩舎に所属しているのも将来を左右する上で意味深いものとなるはずだ。

◆東京のＧ３なら好戦約束
サトノアラジンの母マジックストームは米Ｇ２モンマスオークス(ダ８Ｆ)の勝ち馬。ナスキロの継続クロスがあるので芝向きの走りが可能で、父がディープインパクトだから柔らかすぎるくらい柔らかい。

ラジオＮＩＫＫＥＩ杯であれだけグダグダになっても３着と格好をつけたのが能力の証。ストライドが大きいのでコース替わりはいいし、今回は主役級の扱い。ただ母父がStorm Catである点を考慮するとパワーや底力の血が希薄なので全姉ラキシスのようにＧ１では一歩足りないと思う。

◆隙のない堅実長めマイラー
フジキセキは軽いスピードや器用さ、完成度の高さを誇る反面でクラシック向きのスタミナや底力に欠ける傾向がある。だからイスラボニータのようにパワー血脈のWar Relic[3×3]を持つIn Realityをクロスさせると弱点の解消に繋がる。もちろんこれで完璧ではないが現状のイスラボニータは満点に近い。丁寧に仕上げられているしここも首位戦線。

ピオネロの母父Candy Stripesはバブルガムフェローの半兄。バブルはサンデーサイレンス×Lyphardの前受けで母バブルカンパニーもHyperion[5×5×5]なので先行粘着型の一族。だから京成杯のように後方からでは良さが消える。相手強化の東京重賞だと斬れる馬にやられる気もするが元値の高さに期待して再度印をうつ。

ベルキャニオンはマウントシャスタ、カミノタサハラの全弟にあたる良血で斬れる脚、仕上がりの早さ、距離万能とどこを切り取っても水準以上だが母父にフレンチデピュティのせいか決定打がなく器用貧乏な感じがしてしまうのが減点。

マルカシェンク、ザレマはサンデー×ミスプロ×Buckpasserの黄金配合で走った馬でその半弟ガリバルディも活躍の下地は用意されているが母シェンクは伊の1000ギニーの勝ち馬で兄姉もマイラーとして評価を定着させたようにクラシック向きの血統ではない。1800mの重賞を大外枠から差すのはホネだ。

Galileo産駒の母アドアードが芝10FのブルーウインドＳ勝ち馬でもあるローハイドはどちらかと言えばダービー路線向きで青葉賞、京都新聞杯がお似合い。

ショウナンワダチは自身がノーザンテースト[4×5]母ショウナンマライアがRoberto[5×4]なので適性は中山だと思うが現実にベゴニア賞を上がり3F33秒9の末脚で直線一気している。軽視はするが血統の面で興味が湧く馬だ。