723件のひとこと日記があります。
2014/03/09 12:00
弥生賞
ここ二年は悲劇にも近い悪夢が立て続けに降りかかった。2頭とも敗戦が糧になり、反骨心を生む原動力となったと言えば聞こえは良いがあくまで結果論。その瞬間は絶望しかない。たしかに過去2年は災難を暗示するような曇天だったがきょうは晴れた。久しぶりに肩肘を張らずに臨める弥生賞だ。
そうは言っても本番と同じコースで行われる重要トライアルだ。スプリングSに押され気味で“最”とつかなくなったのが近年の傾向だが13年は弥生賞を足掛かりにエピファネイア、コディーノが皐月賞でも好走しているし当然先を展望しつつの予想が大前提。
今年のメンバーは食卓を彩るが如く様々な種牡馬の産駒がエントリーしてきた(被りはゼンノロブロイだけ)先週、皐月賞と日本ダービーの賞金ボーダーにふれた時、モデルケースは12年世代かもしれないと言ったが弥生賞の顔ぶれと土曜のチューリップ賞を終えて07年世代にも似ている気がしてきた。
安藤勝己を背に重賞3連勝と確固たる地位を築きつつあったフサイチホウオーが軸となった牡馬クラシックだったが春二冠は大荒れ。とくにダービーは64年ぶりの牝馬ウオッカがさらっていった。あの年も牝馬の評価が高かった。12年世代であれば抜きん出た数頭によるトーナメント戦だが、07年世代だと本当の候補不在のまま低調に進む可能性がある。
トゥザワールドは目下3連勝中。新馬で敗れたのもバンドワゴンだから重賞級と考えても差し支えない。Hペースを押し切る競馬も、Sペースの上がり勝負も経験済み。Kingmamboとフェアリードールを通じるNureyev[4×3]だからハイインロー基調で母や兄同様中山向きだがこの血統の特徴でどことなく信頼が置きにくい。
キングズオブザサンは1番人気の京成杯で2着だったが大外枠から終始外を追走。後半の5ハロンが[11.7-12.0-11.9-12.3-12.6]の消耗戦を3角過ぎから仕掛けてゴール前までもたせるのだから大したもの。葉牡丹賞の「2分00秒8」と合わせて中山2000mへの適性は特筆もの。重賞未勝利のチチカステナンゴは正念場。
ワンアンドオンリーは母系のタイキシャトル×Danzigの馬力やHalo[3×4]がフルオンになった配合で皐月賞馬ノーリーズンの近親だから小回り2000mはベスト。
アズマシャトルは3冠馬スティルインラブの甥で母母父Robertoに加えてBuckpasser[5×4]があるゼンノロブロイのひ弱さをカバーした好配合。中距離向きだし、G2でもヒケはとらない。
上位の印をうった馬はいずれも好素材ではあるが上記4頭の中に弥生賞、皐月賞向きはいてもダービーで評価してみたいと思わせる馬が1頭もいないのが問題。このレースだけ切り取って都合よく解釈するつもりはないが混戦の仕方に一抹の不安や違和感を覚える。
この雰囲気であれば京成杯は大敗したエアアンセムにお鉢が回ってきてもいい。その前走は「前半からぶつけられて位置取りが悪くなった」と後藤騎手が振り返ったようにスムーズさを欠く競馬になり、勝負所でも内でごちゃついたまま「直線も行くところ、行くところ前が壁で開かなかった」と落胆の談話を残した。
ただ敗因がはっきりしていれば修正は効くし、まして権利が懸かった本番へのステップではなかったのだから不幸中の幸いと前向きに捉えたい。ホープフルSでは道中インで脚を温存し、直線巧みに抜け出しているように本来は立ち回りも上手。当時2着に負かしたのが共同通信杯でイスラボニータの2着に迫ったベルキャニオン。
この中間は一から作り直したと言うように坂路では馬也で好時計を連発するなど気配が充実してきた。母エアマグダラはエアデジャヴーの仔で、エアシェイディやエアメサイアの妹にあたる良血。サンデーの肌にシンボリクリスエスならスピード負けしないし、G1でも実績のある血統に裏打ちされた総合力を備えているはずだ。