フラワーＣ

◆力の要る馬場で急浮上の二種牡馬
20日(木曜)の関東地方は朝から雨に見舞われた。金曜は天気が回復し、気温も上がる予報だがおそらく馬場が完全に乾くことはないはず。先週の段階より更に0.3?0.5秒ほどの時計差は計算に入れておくべき。重たい馬場による明暗はくっきり分かれるだろう。

斬れ味や瞬発力に秀でたＳＳ系が現代の主流だとすれば普段は問われにくい適性に強い亜流のカテゴリーに配置されるブライアンズタイム(マイネグレヴィル)とオペラハウス(ニシノアカツキ)両巨頭の出番だ。とりわけ注目したいのがオカノブルーを牝祖とするマイネグレヴィル。

朝日杯ＦＳを制したセイウンワンダーのいる一族だが、近年は時代の流れに置かれてその活力は衰えつつあるがポッと現れたマイネルデュプレやマイネルブラウ、マイネルブライアン、マイネミモーゼなど育成方法がマッチし、ニーズのあったマイネル軍団がこの血統の窮地を度々救ってきた。こういう渋い血筋の扱い方が実に上手い。

マイネグレヴィルの配合ポイントは母マイネポリーヌがキャンペンガール≒マイネミレー[2×1]という大胆な父母相似配合である点。こういう強烈なクロスは当代より後々に効力を発揮してくるケースが多い。母父スペシャルウィークもサンデーにしては鈍重だがパワー十分のスタミナ配合が荒れた馬場で躍動する公算が高い。

そもそも中山の比ではないくらい悪かった夏の函館・札幌２歳Ｓを外連味のない逃げでレッドリヴェールからクビ差の２着したり、京成杯(５着)でも強力な牡馬を相手に正攻法で粘って５着と牝馬同士なら一枚上の実績を保持している。小細工なしの競馬で道は切り開かれるはずだ。

双璧とも言えるオペラハウス産駒のニシノアカツキはFair Trial、Lady Joror、Tom Fool的な血脈が豊富で機動力やパワーが抜群なタイプの小回り巧者。前回東京のクイーンＣでも大外から差し込んだのは驚いたが母ニシノシルエットがアグネスタキオン×Caerleonのニックス配合で牡馬のアドマイヤオーラほど斬れないが同じ牝馬のサウンドオブハート級の柔らかい体質を受け継いだのは隔世遺伝の賜物だろう。今の中山で評価を下げる理由はない。

ショウナンパンドラはステイゴールドやレクレドールの姪で、ドリームパスポートとはいとこ同士。母父フレンチデピュティはディープに不足しているパワーを供給できるからカミノタサハラ、ベルキャニオンの兄弟やウリウリのように一流にはなりきれないが堅実な成功を望める。ディープやステイ的なまとまりのある馬体でフットワークが大きいので印を打つなら東京や外回りコースがいい。

バウンスシャッセの母リッチダンサーはSharpen Up系×Fairy Kingだが潜在的スタミナを秘める程度で長めマイラーのでる家系。ホーカーテンペストやフロアクラフトを見ても1800mがベスト。ただナスキロやBuckpasser増幅などゼンノロブロイを押し上げるだけの決め手に欠けるのが難点。良馬場なら寒竹賞の内容を信頼する手だが雨が残るようなら割り引きたい。

パシフィックギャルはアルテミスＳで褒めたように日本向きのSeeking the Goldを通じるMr. Prospector[4×4]にBuckpasser[5×5×6]のロブロイらしい好形で少し薄くも母母Danzigs Fashionがナスキロ持ちで一応の走るエッセンスは詰まっている。母はダ10FのアラバマＳも勝っているがDanzigのマイラー体型でこれも良馬場の1600?1800mを希望。

サンデー系で強調できそうなのがマローブルー(父ディープインパクト)近親にドバイＷＣを制覇したムーンバラッドがいて、叔父にあたるデボネアとは3/4同血。Halo[3×4]のデボネアがらしい脚捌きで中山重賞を好走していたようにHalo[3×5]のマローブルーも未勝利(中山1800m)が鮮やかな差し切り。母方はスタミナ色が強いし格上挑戦でも見劣らない穴候補。

ホクラニミサはセイクレットレーヴ(ＮＺＴ２着)の半妹でエルノヴァ(エリザベス女王杯３着)の姪。馬格こそないがブライアンズタイム×サドラーズウェルズ譲りで力感たっぷりの長めの体型だから時計の掛かる中距離が合っている。新馬戦でパシフィックギャルから０秒２差の比較からも能力的に遜色はない。この中間は緩めることなく入念に乗られて、追い切りの動きも良好。台頭の余地は大いにあるとみた。

クリスマスはWild Risk[5×7]で気性的に函館２歳Ｓや阪神ＪＦのように極端なレースをした方がいい典型。Halo[5×4]と捌きは軽いから小回り向きだが休み明けの1800mは競馬がしにくい。