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2014/03/23 11:00
阪神大賞典
2013年のゴールドシップは単勝1.1倍(支持率78.0%)という圧倒的なフォローの風をうけた阪神大賞典からまさに順風満帆の船出だったはず。しかし天皇賞(春)から風雲急を告げるように怪しく吹き始めたアゲインストの風は夏前に一旦は鳴りを潜めたが秋の訪れと共に徐々に船を傾かせ、ついには暗礁に乗り上げた。
思えば舵の取り方(航路)に問題があった。航路、すなわちローテーションだ。これまで大きく崩れた東京と京都には明らかに苦手意識がある。天皇賞(春)、京都大賞典に関して言えば競馬の内容自体は悪くないがハイスペックを誇る超大型船は顧客の満足度(結果)がすべてだ。
航路変針を図った有馬記念では転覆を免れたように旅はまだ道半ば。オルフェーヴル(引退)ジェンティルドンナ(ドバイ遠征)など大駒が離脱する中、国内で安定・快適・信頼の実績を積むことこそがゴールシップ号の使命でもある。その天命を指南したのが昨年の試練だった。
オーバーホールを経てのメンテナンスも完了している。先月20日に帰厩してから3日後に時計を出せたのがリフレッシュ成功の証。コース、坂路を併用しながら入念な仕上げ。オープン馬をパートナーに登坂し、鞭を合図に機敏な反応をして、一気の加速を見せた最終追い切りからも視界は良好。長旅における経験、自信は誰よりもある。
芦毛の金船に追いつき、追い越せで迫るのは昨年の菊花賞2、3着馬だろう。両馬とも今年緒戦を白星で飾っているように快調な滑り出しだがとりわけバンデに魅力を感じる。菊花賞は大量に水分を含んだ不良馬場。注文をつけてハナを奪うと1000m1分01秒2-2000m2分04秒2(63秒0)-3000m3分05秒2(61秒0)。
途中でネコタイショウに絡まれながらも2周目の向正面にかけてペースを落とす理想的な展開に持ち込んでの3着とも言えるが実情は馬場状態を考慮すればレースを通してかなり厳しいラップを刻み続けたのがバンデの競馬。序盤から中団より前に位置していた馬が上位なので一見すると分かりにくいが相当な消耗戦になっている。
世代の実力者エピファネイアが優勝し、後に2着サトノノブレスが日経新春杯勝ち、4着ラストインパクトも小倉大賞典勝ちと納得の面々。それでいてラスト4Fから12.1-12.0-11.8-12.3とスパートを仕掛けたバンデのスタミナと底力は計り知れないものがある。
御堂筋Sの勝利はメンバー的にも当然だが前半5F62秒3から後半5Fは12.0-11.8-11.6-11.4-12.6でラスト1ハロンが速くならないあたり、実に長距離の逃げ馬らしいラップを踏める馬で興味深い。
凱旋門賞馬モンジューの産駒である父Authorizedは英ダービーなど欧州G1(3)勝の名馬。父系だと少し重さが気になる血統も母父に名マイラーPrioloが入ったことでナスキロ的な柔らかい体質を受け継いだ。上昇一途の4歳馬だけにもしかすると「ウオッカ、ダイワスカーレット理論」が成立するかもしれない。
サトノノブレスはトニービンのHyperionを振り絞る先行馬に完成してきた。日経新春杯の逃げは予想外だったが理屈上はあれで大正解。スピード感には欠けるが豊富なスタミナと末脚の持続力は長距離向き。陣営はまだ控えめなコメントだが調教の動きをみれば裏で笑顔を隠しきれないだろう。天皇賞に向け、ステップアップしたい。