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2014/03/30 12:00
マーチS
ダート界は長く続いた絶対王者たちの時代が終わり、候補ひしめく乱世の時代へと転換してきた。エース格の5歳ホッコータルマエ、6歳ベルシャザールはドバイに旅立っている。この留守に大挙してきた出走してきた4歳世代による熾烈な権力争いの幕が開こうとしている。
超人気薄の肩書きこそあれどフェブラリーSを制したのは4歳コパノリッキーであり、既に着々と地盤変化は進みつつあるのかもしれない。JDD1、2着で早い時期から軌道に乗ったクリソライト、エーシンゴールドに加え自己条件で力をつけて這い上がってきたソロル、ジェベルムーサ、クリノスターオー、ドコフクカゼ。いずれも楽しみな顔ぶれだ。
とりわけデビューから連対を外していない安定感に、順調度からデキが目立つのがエーシンゴールド。JDDで完敗後は疲労回復のためオーバーホール。7か月ぶりとなったアルデバランSでは減っていた体も戻り、気力も十分に整った姿での一戦。
Hペースもお構い無しにとにかく終始余裕の手応えで残り200mで独走状態。100mほど流して2馬身差だから末恐ろしい破壊力だ。世代屈指のスピードにラストの脚までしっかりすればまさに王座に近い存在。この中間も坂路で好時計を連発しているし人気を大きく裏切るシーンは想定しにくい。
このエーシンゴールドをJDDでは早めの仕掛けから7馬身差ぶっちぎったクリソライトも4歳世代の看板馬。昨秋は体調面の問題で覇気のないレースとなっていたが今回は調教からして当時とは雲泥の差。ゴールドアリュール×エルコンドルパサーの配合でアロンダイトの甥。このまま黙ってはいないだろう。
格は一枚落ちるが中山1800mでオープン特別勝ちのあるソロル、ジェベルムーサには“地の利”がある。先行力のソロルに対して捲りのジェベルムーサと対照的だが立ち回りは巧い。ただ、しがらき仕上げがあるにしてもソロルの一週前に初時計は違和感があるし、ジェベルムーサは中間併せ馬なしが気になる。逆転を望むのは酷な状況だ。
これならば久々の仁川Sを+24キロで2着に粘り通したドコフクカゼを評価したい。意外と良化は遅めだが間隔を詰めて好成績のワイルドラッシュで、これに雨予報だから一角崩しも狙える。クリノスターオーはアルデバランSでエーシンゴールドを押し退けての1番人気で過剰評価も初のオープンで5着は健闘の部類。3連勝も伊達ではない。重賞を勝ち負けするには本数不足だがゆくゆくはと思わせる。
上昇と飛躍の4歳勢を評価したところで本命は別。力量馬の順番付けを印に反映したところで面白くないのは致し方ない事情があったとはいえ先週からの流れで改めて実感した(そろそろ捻らせてほしい)昨年の優勝馬で今年の東海S2着のグランドシチーですら蚊帳の外だから昨年2着のバーディバーディが忘れられるのも無理はない。
長い休みを経てアルデバランS9着、ポラリスS8着の近況が輪をかけて評価下げの原因となっているが過去[0-1-1-1]の舞台で衰えと見切るのは判断を誤る。ブライアンズタイム産駒だけに本質的には叩き良化型。ここ2戦は池江流の餌撒きに過ぎないのは容易に推測できる。
2000mの仁川Sではなく、あえて忙しい1400mのポラリスSを選択したのは速い流れに身を置くことで武器である先行力の目覚めを促す采配。今回は中身も仕上がってくる叩き3戦目。中2週以内は[2-2-1-5]確固たる裏付けのある最良のローテを踏んだ。
12番より外で[4-1-1-3]3着を外したのもJDD(6着)武蔵野S(6着)仁川S(4着)で大きく崩れてはない。揉まれずに内を見ながら競馬できる外枠はバーディバーディのビクトリーポジションだ。メンバー中二番目に重い58キロは楽でもないが本馬自身は背負いなれた斤量。年齢を重ねるとむしろ円熟味を増すのがこの血統の最大の長所。強力な若手を倒すだけの値打ちを計算できる◎だ。