723件のひとこと日記があります。
2014/05/11 09:59
想い出のNHKマイルカップ
突然だがこういう会話を体験したことはないだろうか。
A「10年ぶりに偶然Cと再会したよ」
B「久しぶりだな。どんな様子だった?」
A「う?ん。それが悪い道に進んでしまったみたい」
B「そうか。それは残念だな・・・」
A・B「学生の頃は成績優秀でいい奴だったよな」
身に覚えがあるだろう。ここで問題提議したいのはAとBがCの変化した姿にのみ言及している件だ。10年も経てば、人は誰しも変わる。外見の変化は一番分かりやすいが内面だって置かれている環境や状況次第でいかようにもなる。
とくに学生?社会人という大きな転換の波に否が応でも翻弄される10代後半?20代は別人格となる可能性をはらんでいると言っても過言ではない多感な時期だ。一旦構築された人格を壊して、新たな人格を形成する人も少なくはないだろう。
話しを戻すとAとBは10年間のCを知らなかった。だから変貌ぶりを嘆く主旨の発言をした。しかしAとBにとっては空白の期間でもCには10年の時が当然流れている。外見も内面もいきなり変化することはない。そこには相応の理由が必ず介在する。だからこの場合、AとBはCの10年間を慮るべきなのだ。
前振りが長くなったが要するに対象への理解を深めようとするのであれば万事は“点ではなく、線で見る”ことだ。これが先決かつ最も有効な手段となる。
見るものすべてが点でしかなかった競馬の世界に足を踏み入れ、初めて出会った名馬がキングカメハメハだった(スペシャルウィークはニュアンスが異なる)当時は前後左右不覚だからポッと出にしか思えなかったが当然キングカメハメハにもそこに至るまでの歩みはあった。
天皇賞の余韻冷めやらぬといった感じで勇んでWINSに出掛けたあの日は雨だった。そう大好きな雨のG1だ。前週と同じく4階外の一角に陣取り、時には喧騒を。時にはそぼ降る雨音をBGMに馬柱と睨めっこ。出走馬の一頭、一頭と対峙した。本当に何もかもが新鮮だった。
結論から述べるとこのNHKマイルカップは馬券をとっている。配当は3連複1580円だからべらぼうに安いが格別に嬉しかったものだ。しかし何故か稀代の優駿キングカメハメハではなくて、復権目指す2歳王者コスモサンビームを軸に据えていた。無知とは恐ろしい。ただ2番人気のシーキングザダイヤを消していたのは褒めてやりたい。
レースは圧倒的だった。タイキバカラ(懐かしいクリスタルCの勝ち馬)という速い馬がゲートいまひとつで手綱をしごいてハナに行った影響もあり3F33秒9-4F45秒6のHペース。13番枠発走のキングカメハメハは何の苦労もなく中団の外を追走。まさに勝利を約束された必勝の態勢。
あとは直線での仕掛けのタイミングを待つだけだったが、たとえミスがあっても些細と笑い飛ばされるような大楽勝では関係なかった。2着コスモサンビームにつけた差は5馬身。新チャンピオンの誕生だった。筆者にとっての“始点”でもあったがやがて訪れる種牡馬キングカメハメハの“始点”ともなり、それは今に至るまで線として繋がっている。
【ブリリアントS】は前走のマーチSで苦しいところから大外を伸びて3着まで押し上げた4歳ドコフクカゼが人気の中心だが東京ダ2100mのあらゆる特殊性を考えると完璧なコース巧者であるイッシンドウタイがV候補筆頭に相応しい。
この舞台では【1-2-1-1】の良績で3着を外したのは例によって横山典弘のヤラズ疑惑で直線ほぼ追われなかった是政特別(10着)だけ。前につける脚があるのでペースが緩みやすいこのコースでも有利に運べる。姪にラブミーチャンがいる血統で門別時代には短距離も使われていたがここに来て天皇賞馬スズカマンボの血が開花。絶好調の蛯名が混戦を捌く。
調教時計は平凡でも一週前に一杯のメイショウパワーズ(端午S勝ち)と併せて馬也で併入したファイヤーも仕上がり上々。同コースの晩秋S以来となるダートで変身必至。ダブルスターは距離経験こそないが東海S4着など力をつけており久々でも要警戒。大型馬だが鉄砲得意のハートビートソングも連下一考。