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2014/05/18 12:00
栗東S
ある日突然迎える転機も決して偶然ではない。一つ一つの効力は薄くとも必然が重なり合った瞬間に大きな力が働く。確かに後付けすら不可能な大穴もあるがそれは目が届く範囲に留まる上辺だけでの判断にすぎない。しかし常日頃競走馬と接している現場の人間が肌で感じる変化も我々には半分も伝わらないのが実情である。
思い出すのは数年前のキングトップガン。掲示板すら2年半以上遠ざかって、二桁着順が3走続いていたのが大阪ハンブルグカップでは何の前兆もなく単勝477.7倍でクビ差の2着。次走のメトロポリタンSは敗退するも相手が厳しくなった目黒記念、函館記念を連勝するのだから実に奥が深い世界だ。
◎エンジョイタイムの高瀬川Sは後々振り返った時に状況打破の一戦を決定付けるに申し分のない印象を与えた。芝スタートからやや出負けし、行き脚もつかず後方2番手からの競馬となったが3?4コーナー中間から手綱を扱いて、外目を加速しながら進出。勢いそのままに直線は悠々とごぼう抜きを達成した。
人気は能力比較の目安であって、判断材料には不向きなファクターだが前回のレースは単勝150倍のブービー人気の姿ではなかった。先頭勢が前半からやり合っていたので前は早々に苦しくなった感じだが3F34秒9-4F47秒2は全然速くない。むしろ上がり3Fは12秒7-12秒5-12秒5の加速ラップだから好位から押し切りを図った1番人気ブロードソードを捕まえたエンジョイタイムの力は本物である。
柔のタイキシャトルに剛のSadler’s Wellsの配合はディープサマー(かしわ記念3着他クリスタルC1着)と同じ。エンジョイタイムはThatch≒Special[4×4]をはじめクロスが煩いが母は5代アウト。しかし3代母はまたクロスが乱立しているように緊張と緩和によって成立してきた血統。
なかでも近親配合を持つエンジョイタイムが秘める期待値は高かったのだろう。突然覚醒を促すだけの爆発力がしっかり眠っていた。そして一番は大きいのは調教面。デビュー直後を除いてほとんどだった坂路に前走の中間からコースを交えた効果がてきめんだった。長めからの運動量を増やしたことが末脚の威力をアップに繋がっている。
「53キロ」はフロック視されている証拠だが今回においては有り難く受け取るべきハンデキャッパーの温情。昇級戦でも通用する感触はある。決め手が問われるならば叩き2戦目のナリタスーパーワンが強敵。キョウワダッフィーもこの距離と相手関係ならば無理に消す要素は見当たらない。インペリアルマーチは久々のポラリスSが善戦の5着。良馬場の京都1400mで軽視は禁物だ。