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2014/05/18 14:00
ヴィクトリアマイル
過去8年のヴィクトリアマイル優勝馬の前走は見事に色分けされているが08年と12年を除く6回に共通しているのが06年ダンスインザムード(マイラーズC2着)07年コイウタ(ダービー卿CT2着)09年ウオッカ(ドバイデューティーフリー7着)10年ブエナビスタ(ドバイシーマクラシック2着)11年アパパネ(マイラーズC4着)13年ヴィルシーナ(産経大阪杯6着)と混合戦に出走していたこと。
この点はたとえ出走レースの格が低くとも甘く見るべきではない。今年は能力的に断然の存在はいないが各々の粒は揃っているだけに一筋縄ではいかないが大挙してきた4歳勢の中でも東京マイルにおける総合力と近況を重視してラキシスの新女王襲名に◎をうった。
デビューから一貫して2000m以上に拘る手法はダービーに大目標を置く牡馬なら珍しいことでもない英才教育だが一冠目がマイルの桜花賞である牝馬には必然と無理が生じてくる育成。それでもデビューが遅れて、オークス勝負に絞った馬ならまだしもラキシスは12月に初陣を迎えている。
しかも阪神2000mだから完全に牡馬の王道路線。ただ牝馬特有の食いの細さや体質の弱さが災いし、馬体重の維持が精一杯でロクに調教も積めなかったのが3歳春だった。体を戻して復帰した甲武特別、鳴滝特別はさすがに別格の動きで完勝。余勢を駆って挑んだのが傍目には無謀にも思えたエリザベス女王杯。
初の一線級との対決、時計の掛かる重馬場と大きな壁が立ちはだかったが下馬評を覆す大健闘を見せた。大外枠から積極的に先団につけて流れに乗ると、仕掛け所をじっと狙い澄まし、直線では一旦メイショウマンボと馬体を併せる形で先頭。二冠馬の決め脚には完敗だったがアロマティコの追撃を阻んでの2着は春の鬱憤を晴らす快走だった。
4歳緒戦の京都記念は久々の影響か少しテンションが高くて、スタートは一完歩立ち遅れ、道中も鞍上の腰が浮く場面もあったように全体的にスムーズではなかったが直線は内を突いて追い上げて0秒3差4着。斤量差が3キロあったとはいえジェンティルドンナにはきっちり先着。
ジャパンC連覇の歴史的名牝がVMに出走すれば人気を独占していたであろう事を考えれば現在のラキシスの立場は不当に近い。VMを目指すのであれば距離は短縮せざるを得ないのが通例だが次走に選んだのは中日新聞杯。この路線でも牡馬相手にやれる(つまり牝馬限定なら実力上)という調教師の執念にも似た信念の決意表明だった気がする。
そこでしっかり結果を持ち帰れるのがラキシスの凄さでもある。同門のマーティンボロにはハナ差及ばなかったが3着ラブリーデイ(メトロポリタンS)4着ユールシンギング(新潟大賞典)5着トウカイパラダイス(産経大阪杯2着)6着レッドレイヴン(福島民報杯)これをみて多くは語るまい。
おなじみのディープインパクト×Storm Catの配合。Nijinskyの影響で長めの距離に対応しているが母母父FappianoはG1メトロポリタンHC(米8F)の勝ち馬でこの血を引いた母マジックストームもマイルG2勝ちだから血統的にはマイルの方が合っている公算は大きい。以前に全弟サトノアラジンを解説した時、パワーの血が希薄でG1では一歩足りないと書いたが武器である軽いスピードを持続させて押し切れる今の東京は格好の舞台となりそうだ。
ドバイ遠征帰りで本数不足は否めないデニムアンドルビーだが「牧場でも緩めていない」という言葉を信用するのなら3頭併せでラキシスに先着した直前の動きを評価するべき。ジャパンCは上がり3F33秒2で2着。東京なら現役屈指の破壊力だ。
休み明けにも関らず馬体を減らして萎んでいたメイショウマンボの前走は明らかに走れる態勢になかったので度外視。この中間は馬也中心でも軽いフットワークが目立つし反撃確実。重賞で3戦連続2着のキャトルフィーユもほぼ開花宣言。勝ち味の遅さは時に相手なりの激走を呼び込む。先行タイプにC.ウィリアムズ、半姉は11年3着のレディアルバローザ。条件は整っている。
ホエールキャプチャは苦手の重馬場だった東京新聞杯をなんと57キロで完勝。12年1着、13年2着を含め東京1600m[3-1-0-0]と完璧だが揃いすぎていると逆に来ないと断言するのは長年の勘。買い時は過ぎている。単なる戯言と聞き流すのも勝手だが確かな根拠に基づけばこの中間は15本の時計すべて馬也。しかも好調時は美坂で50?51秒台が当たり前の馬が一度も54秒すら切ってこないのはいくら時計が掛かる現況を考えてもおかしい。