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2014/05/25 09:00
想い出のオークス
改めて04年世代の牝馬たちを振り返るとひと味もふた味も癖のある個性派が揃っていた。ダンスインザムードの桜花賞圧勝で迎えたオークス。全姉が95年のオークス優勝馬ダンスパートナー。全兄にダービー惜敗のダンスインザダーク。鞍上にはきょうだいの手綱もとっていた全盛期の武豊。単勝1.4倍。府中の杜を支配していたのは完全なる二冠の饗宴ムードだった。
対抗勢力の一番手に支持されたのは桜花賞3着の2歳女王ヤマニンシュクル。オールドファン歓待のトウカイテイオー産駒だった。次いで桜花賞2着馬アズマサンダースも母父シンボリルドルフという時代に流されまいとする傍流の母系。そしてスイープトウショウ。後の偉大な名牝も当時はムラっけ全開のわがまま娘(結局最後まで我の強さは変わらなかったが)
これにフサイチコンコルドの姪にあたるグローリアスデイズや芦毛マニア垂涎のヤマニンアラバスタ(ゴールデンフェザント×タマモクロス)も名を連ねていた。ただ東京2400mでダンスインザムードの一強を脅かすまでの馬が存在したのかと問われれば答えはNOだった。2番人気9.3倍、3番人気13.4倍、4番人気13.8倍、5番人気17.9倍・・・。全馬が未知となるコースならあくまでダンスインザムードが絶対の空気だった。
しかし長い直線の攻防で目撃したのは軽快な逃げ脚が衰えることなく突き進むダイワエルシエーロと必死にもがき苦しむダンスインザムードの姿だった。好スタートから2番手につけたダイワエルシエーロは向正面でウイングレットを交してハナに立つとそのままマイペースに持ち込み、急追したスイープトウショウを抑え込み、気付けば府中の長い直線のゴール板を真っ先に駆け抜けていた。
父はサンデーサイレンス、母は桜花賞2着ロンドンブリッジ。デビュー3戦目で同じ東京のクイーンCを勝利。距離不安説こそあったが樫の舞台で中心に返り咲いていも不思議ないだけの背景を兼ね備えていたのは間違いない。しかしこのレースを制覇するにあたって福永祐一の技術と判断という大きな尽力があったことを忘れてはなるまい。紅梅S以来となる積極策で気分よく運ばせたことがダイワエルシエーロの能力解放を強力にバックアップし勝因に繋がった。
国内外のG1通算24勝中11勝が牝馬。当たりの柔らかさが繊細な馬への定評を呼んだ結果ついた称号が「牝馬の福永」実際に周知され始めたのはラインクラフト、シーザリオを擁した05年以降だったと思うがこのオークスでの騎乗がクサビ的な役割を果たしていたと感じる。巧みな手綱捌きに加えて、桜花賞でのダンスインザムードの強さを目の当たりにした末に練りだした対抗手段を繰り出せる大胆な勝負度胸もしっかり据わっていた。
当時28歳。失うものがない若さゆえの思い切りとだけで片付けるべきではない。昨年リーディングに輝くなど、近年は勝ち星を着々と積み上げて自らの地位を向上させてきた。馬の選択も自由がきく。しかし安定のために重要なモノを捨てている。昨年は縁がなかった牡馬クラシックと盾のタイトルを獲得したがエピファネイアもジャスタウェイも必ずしも福永祐一でなければいけなかったのだろうか。少なくともあの頃のダイワエルシエーロは福永が背にいたからこそ叶った名誉挽回だった。
圧倒的1番人気が飛ぶと、どうしても勝ち馬への焦点が霞みがちでダイワエルシエーロもG1馬として正当な評価を受けたとは言い難いがカンパニーやエアシェイディを封じた京阪杯やラスランとなったマーメイドSなどダイワエルシエーロの想い出はいつも得意の逃げだった。そして残念ながら今年のオークスは見学の福永。理想より現実を知った現在の保守的な自身の騎乗を見つめ直せれば真の名ジョッキーに近づけるはずだ。
【韋駄天S】◎グレカーレから入る。中央場所では掲示板にすら載れないがローカルでは安定する典型的な平坦巧者。とくに直千では[1-1-2-2]と好成績で昨秋の驀進特別では今回人気を集めそうなアンゲネームと0秒2差(2着)前走の邁進特別は3着だったが走破時計「56秒6」で1週前にアンネゲームが勝った準オープンの駿風S「56秒5」とほとんど差がない。アンゲネームとの比較におけるハンデ差6キロはかなりお買い得。いつもの開催より時計が掛かっているのは持ち時計のないグレカーレにとって非常に有利だ。
本線にとったサトノプレシャスは邁進特別で2着。これも馬場適性は高いし、57キロ→51キロで1枠→6枠と良い事ばかりでは人気沸騰も頷ける。あとは直千をこなした時のスイートジュエリー(53キロ)が単穴。