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2014/05/25 14:00
オークス
ついにやってきた春二冠の刻。ベガの成し遂げた優駿の蹄跡は23年かけて脈々と繋がれたバトンと共に孫のハープスターに託され、そして甦った。アドマイヤベガ、アドマイヤドンなど優秀な産駒を授かった名牝の血は色褪せることなく再び新しい時代の到来を告げようとしている。
86年のグレード制導入後、昨年までのオークス歴代単勝1倍台の馬の成績は以下の通り。
86年メジロラモーヌ 1着(単勝1.8倍)
87年マックスビューティ 1着(単勝1.8倍)
89年シャダイカグラ 2着(単勝1.8倍)
01年テイエムオーシャン 3着(単勝1.8倍)
03年アドマイヤグルーヴ 7着(単勝1.7倍)
04年ダンスインザムード 4着(単勝1.4倍)
05年シーザリオ 1着(単勝1.5倍)
09年ブエナビスタ 1着(単勝1.4倍)
8戦【4-1-1-2】
オークスの結果に関らず、人気になるべき馬が支持されている印象に映る。ただエアグルーヴやメジロドーベルをはじめ、スティルインラブやアパパネなど三冠を達成するような馬たちも1倍台でなかったのは少々意外な気もするがクラシックはある種の閉鎖的空間でもある。
牝馬の場合とくに桜花賞組、そして近年では阪神JF組が中心軸を担う屋台骨になっているから抜けた人気にはオークス以前に絶対的な力関係を示しておく必要がある。この点においてエアグルーヴは桜花賞を回避していたし、アパパネには距離不安があった。
もうひとつ重要なのがライバルたちの存在だ。人気形成に影響してくるのはむしろこちらの要素かもしれない。表現の仕方が難しいが単勝1倍台だった年は対抗以下の勢力が物足らなかった面もある(だからと言って人気に推されていた馬たちの能力にケチをつける訳ではない)
象徴的な所だとメジロドーベルにはキョウエイマーチがいたし、ベガの二冠の前にはマックスビューティの娘マックスジョリーの存在があった。アドマイヤグルーヴにスティルインラブ、ブエナビスタにレッドディザイアという好敵手はいたがそれでも人気を二分するまでには至っていなかった。
閑話休題。ハープスターには阪神JFで後塵を拝したレッドリヴェールという最大のライバルがいた。リベンジとなった桜花賞での着差もクビ。樫の舞台でもこの2頭の一騎打ちに絞られることは疑いようもなかった。それがレッドリヴェールのダービー参戦だ。ライバルが消えた今、女王への階段を登るのはハープスターだけだ。
強敵の姿が己を高める最高の燃料となるのであれば歴代の単勝1倍台の馬たちの勝率は決して低いものではないかもしれない。とにかく桜花賞は究極の追い込みだった。あれほど極端な決め打ち劇をG1で演じてしまうのだから文字通り“役者が違いすぎる”。
最終追い切りでは雨を含んだ重いウッドチップを軽々と疾走し、初めて併走馬を突き放すおまけつき。大一番を前に一層の磨きをかけた末脚が唸りを上げた。父のディープインパクト同様に細かい数字を並べたて規格を図るような次元の馬ではなくなった。性格上、強すぎる馬とはいつか袂を分かつ悲哀な運命。凱旋門賞上等。頑張って欲しい。これがハープスターと共闘する最後の◎になるだろう。
相手探し。筆頭はマジックタイムだ。フローラSはレース直前での騎手変更などもあり1番人気を裏切る形での5着。最後は止まった感じだったが過去のレースを振り返るとやや仕掛けが早かったようにも見える。馬群で少し踏み遅れたクイーンC(2着)くらい我慢した方が弾けるタイプの可能性はある。
脚の使い所が難しいハーツクライ産駒に横山典弘。どん尻から一発を狙っていける。幸いにも外差しが決まる馬場になってきた。母タイムウィルテルは03年オークス惨敗だったがブライアンズタイム×サドラーズウェルズ×Krisと激戦に耐えうるだけの底力を秘めている。
今年に入って精彩を欠いているが、この中間でかなり復調してきた気配が窺えるマーブルカテドラルはアルテミスS勝ちのある東京に戻って虎視眈々。追い切りでの加速のスムーズさや時計に明らかに変化がある。好走で伝説の新潟2歳Sに箔をつけたい。皐月賞で0秒7差に踏ん張ったバウンスシャッセも牝馬同士なら距離の壁を越える。