白百合Ｓ

◆この距離なら鋭さ随一
アドマイヤムーンの活躍産駒を配合別で見るとPrincely Gift系やMr. Prospector系など軽いスピードとダート寄りのパワーを内包する母系との相性が非常に良い。Princely Giftは代表産駒でもあるハクサンムーン、Mr. Prospectorはアルキメデスやルナフォンターナ、プレイズエターナルがいる。

またオペラハウスのレオアクティヴ、ブライアンズタイムのセイクレットレーヴ、Storm Catのウイングザムーンらは非主流の馬力型。アドマイヤムーン自体がMr. Prospector系の異端児的な面があったし、３世代終了時点でクラシックに有力な手駒を送り込めなかった辺りがこの血統の限界かもしれない。

ただ飽和するサンデーサイレンス系の牝馬たちとの組み合わせという切り札が残されている。確かにサンデーサイレンスの特色を考えれば[3×3]だと血は濃いがリスク以上に爆発的な魅力を秘める絶好のコンテンツになり得る。ビジネス元のダーレーの方針次第で大きく変貌する余地があると睨んでいる。

その意味でパイオニア的な役割を担いそうだったミヤビジャスパーのクラシック不出走は残念の一語。母系のスペシャルウィーク×サクラユタカオーは皐月賞３着のウインフルブルームと同じ配合で奥には成長力に定評のあるノーザンテーストを構えているようにクラシックを意識できた素材だ。

京都牝馬特別を勝つなど重賞戦線で活躍した祖母のシスティーナがNasrullah[4×5]やNearco[5×5]など全体的にクロスが煩いHyperion気質全開の逃げ馬だったが血統的な強度を保ちつつ、スペシャルウィークでサンデー系の柔らかさを補った上に更にアドマイヤムーンの速さと完成度を加えて、デビュー６戦で上がり３Ｆ順いずれも３位以内の決め手勝負型になった。２戦２勝の1800mはベストだしこの相手関係なら反撃確実。

◆問答無用の高適性
京都芝1800mにおけるディープインパクト産駒の強さは知れ渡っているが、その無双ぶりは加速している。09年以降?先週までの時点で【45-25-20-111】は２位のキングカメハメハ【18-14-18-114】を圧倒する断トツの成績。勝率22.4％、連対率34.8％、複勝率44.8％はもはや手がつけられないレベル。

今回唯一出走するステファノスは母ココシュニック、祖母ゴールドティアラと代々がダート馬の牝系。母父クロフネだけに芝ではスピード不足の感もある。現に２勝は時計が掛かる阪神と重馬場の京都。それでも皐月賞５着(０秒４差)や毎日杯３着(ハナ＋クビ差)の実績は一歩抜けているし評価は落としづらい。ただ詰め切れないシーンは想定しておくべきだ。

◆サンデー×Lyphardの前受け
ピオネロの母父Candy Stripesは天皇賞(秋)を勝ったバブルガムフェローの全兄。この血統はザッツザプレンティやトキオパーフェクトなどを見ても分かるように先行粘着脚質に出やすい。ピオネロは重賞のメンバーに交じると前に行けず、結果的に持ち味が発揮されないジレンマを抱えるがオープン特別なら地力の高さで上位有望だろう。

ワードイズボンドはRoberto[3×4]なのでやや体質が硬く、緩慢なストライドで走るから直線の長いコースで追っても味がない。プリンシパルＳ(８着)は強引にでもハナを奪って平均ペース以上に持ち込むべきだった。これが阪神の1800なら同型が多くとも見直したいが斬れる脚が要求される当舞台では伏兵止まり。

メジロモントレーはメジロ牧場の育成らしく芝の長い所を得意としていた馬で牡馬に互角以上にやりあってアルゼンチン共和国杯やＡＪＣＣを勝った。この潜在的なスタミナは豊富な牝系にカーネギー→スクリーンヒーローと配合されてるからモーリスも字面は中長距離馬で現に薄手で長めの体型をしているが気性がいかにも若い。これも本質的には小回り、急坂向きだ。

CurlinはドバイＷＣやＢＣクラシック、プリークネスＳなどＧ１を７勝したアメリカの名馬。その父がSmart StrikeでセセリはMr. Prospector[3×3]コテコテのアメリカン血統だから芝での大成は厳しい。同コースのあやめ賞は勝っているが２着スウェプトオーヴァーボード産駒、３着クロフネ産駒と五十歩百歩のメンバーだった。