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2014/06/29 10:00
パラダイスS
◎ミッドサマーフェアはフローラSを上がり33秒4の末脚で快勝したイメージが強くて、斬れ味型に思われているが通算7度の馬券圏内で全体の上がりが34秒台だったのは前述のフローラSだけ。洋芝のクイーンS3着や古馬になってから中山のマイル戦で3着が2回あるなど実は時計や上がりが掛かる方がベターなキャラだ。
かと言って、立ち回りが巧いタイプではないのが抱えるジレンマ。大外枠だった東風SはともかくターコイズSやクイーンSの競馬ではロスが大きくて勝ち切るには至らないのも納得。上がりの掛かる馬場状態、ゆとりを持って外を追い込めるこの好走に不可欠な二大条件一気に解消されそうなのが今回のパラダイスSなのだ。
ズブズブの君子蘭賞を圧勝しているようにタニノギムレット×Kingmamboの血統通り荒れ馬場、重馬場は全く苦にならない。前走から調教の場を坂→南Wに替えており、今週は【5F66秒6-4F51秒7-3F37秒8-1F12秒1】で脚取り確か。好走必至とみて自信の軸に据える。相手は馬場適性を感じるクッカーニャ、コウヨウアレスの昇級組に東京1400mは鬼のインプレスウィナー。
さて2か月に渡った春の東京開催もオーラスを迎えた。正直なところ、これだけ長いと食傷気味になるのは否めない。激戦のG1シリーズが続いた後は張り詰めた心を癒すべく福島で心身ともにクールダウンすべきだと思うのだがどうにもJRAには余韻の文化がないらしい。先週と今週の東京競馬における蛇足感は半端ではない。
愚痴になりそうなので話を戻すと今春のG1は全体的に満遍なく見所があって良かった。それぞれのレースに話題性やドラマがあり、サイドストーリーも充実していたから間延びするようなことがなかった。華麗に舞ったハープスターに好敵手レッドリヴェールの存在。ラストクロップで悲願を成就させたフジキセキ産駒のイスラボニータ。
キズナ、ゴールドシップという二大競演を真っ向勝負で撃破し、大復活の連覇となったフェノーメノ。3歳にして逃げの心得をもち貫き通したミッキーアイル。悩めるヴィルシーナ(内田博幸)が光りを求めた末に辿り着いた地は1年前の晴れ舞台。絶対視された女王の陰で静かに花を咲かせた関東のかすみ草ヌーヴォレコルト。
三者三様。引き寄せられた不思議な縁を生かし、橋口調教師に念願のタイトルをもたらしたワンアンドオンリー。条件不問。ジャスタウェイが示した不良馬場での底力は世界一の称号に相応しかった。ライバル対決、復活、連覇、悲願、世界一。勝負事を盛り上げるエッセンスがこれでもかと盛り込まれた素晴らしい戦いの数々だった。
もちろん中心にいるのは馬。海外への遠征が普通になった昨今、自国の競馬を軽んじるような風潮が漂っていたのがここ数年で競馬界全体が低調なムードに包まれていたが強い馬が経験を国内で還元するようになったのが大きい。各世代からスターが誕生し、ビッグレースで激突する。ファンが望むこんな当たり前の風景がようやく戻りつつある。有力馬が出揃った真のNO.1決定戦が秋に実現する願いと共に今春の総括としたい。