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2012/04/10 00:18

パーマーの死に、何を想う

それは古き良き時代の競馬というには、そう遠くは無い過去の時代に駆け抜けた、一頭の個性的名馬の死

丁度、自分が競馬に本格的にハマり始めた時期と入れ違いに彼は引退となり、リアルタイムで観戦したことはない

ただ、当時貪り読んでた数多の競馬本には彼を含めた、様々な個性を持ったスター、脇役、はたまた無名の馬達への個人的思い入れのこもった文章が、累々と書き連ねられていた

そして、競馬ビギナーだった私はそれらを読んでいく毎に、見ることのできなかった彼等の走りや、近い未来にまた繰り広げられるであろう新しいドラマに想いを馳せていたものだ

しかし、時を経て辿り着いた現状は、憧れていた様相とはいささか違うものに変遷を来していった

レースは折り合い専念のスローペース症候群となり、上がりの競馬一辺倒
ペースや状況判断の妙はなりを潜め、逃げての穴は今も数有れども、追い込んでの穴が印象深いレースは減ったように感じるのは気のせいではないはず
行かせたら勝たれる
それでも、動けば差されるという我が身の可愛さからか、誰も鈴を付けようとはしない
前行く馬に楽なレースを許そうとしないが故に、力が足りないと思われる後方待機馬にもチャンスが生まれ、ダイユウサクレッツゴーターキンのような激走が起こり得たのだ
現代にパーマーのような走りと力を持った馬が現れたら、それでも指を加えて後ろで見ているのだろうか
どの条件、どのメンバーでも大きく代わり映えしないレース展開は見ていて退屈だ

その一方で、騎手の乗り変わりは日常茶飯事に行われる
人馬一体と言われるような、名コンビが生まれることも少なくなった
全ての現場にあって余裕の無い今の世情では、辛抱する時間を持てず、すぐに結果を求められるという点において競馬の世界にも変わりはない
パーマーは山田泰誠に出会うまで乗り変わりはそれなりにあったが、主戦を下ろされ
る訳ではなく他に有力馬があってこそで、泰誠騎手においては絶対にパーマーを譲らないという努力と、それが実るまでの忍耐があってこそなのである
あの馬と言えばこの騎手
この騎手と言えばあの馬
そんな語り口で始まるロマンチックな物語は、今の競馬からではそう多く綴られそうもない

しかし、これらのような断片的な例を挙げただけの話は、私のような只の一ファンにおける見解であり、競馬サークル内の当事者の方達にとっては良い変化であることもたくさん存在すると思う
だからその事実において、ファンの立場という偏重した目線からの是非を問うつもりはない
ただ、ファンの感じていたそういった競馬の魅力が失われていっている事も等しく事実なのだ
そしてそれは、彼のような稀代の個性馬が奔放に駆けて行った後に吹き抜けたであろう一陣の風を、もう競馬場で感じることはできない事と同意ではないだろうか
私は残念ながら、その風を感じる機会が得られなかった
それをとても悔しく想う

さらばメジロパーマー、良き時代と共に

合掌

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