万引き犯

俺が19歳頃、コンビニで夜勤のバイトしていたときの話だ。

時刻は深夜2時過ぎ。
普段からこの時間は暇で、バックルームに待機してることが多い。この日も店内のモニターを見ながら、もう一人のバイト仲間と適度の休憩を取っていた。
すると20歳過ぎの男性客が入店してきた。始めてみるお客だ。この時間に来るお客はほぼ常連客が多い。しかも、入店してからのキョロキョロ辺りを気にしながら、店内を徘徊している。するとバイト仲間が、
「〇〇〇さん、怪しくないですか？俺、レジに立ちましょうか？」
と、聞いてくる。俺は
「いや、待て。奴…絶対やるよ(万引き)。少し様子みよう｣
すると…まさかモニターで監視されてると思っていなかったのか、次から次へと商品をポケットに突っ込む突っ込む！
それを確認した俺は、バイト仲間に、
｢自動ドア閉鎖、外の街灯消灯してくれ｣
そう指示を出し、俺はレジへ向かう。
すると、奴は何か悟ったのか、飲料水コーナーからウーロン茶を持ってレジに向かってきた。
｢いらっしゃいませ。…お会計〇〇〇円です」
会計を済ませた奴は何事も無かったように、
自動ドアへ向かう。
しかし、自動ドアは開かない…。何度も何度も自動ドアの前で足をバタバタさせ、開くのを待つがどうやっても開かない。焦りながら奴が、
「す、すいません…。ドア開かないようなんですけど…」

それを聞いた俺は一呼吸入れた上で、
「お客さん、まだ会計していない商品ありませんか？ポケットの中に…？」
と問うが…しばらく沈黙…奴は下を俯いたまま沈黙…。
俺は一言。
「ポケットに入っているもの、出してくれませんか？」
そう言って奴のポケットに手を突っ込むが、奴はさほど抵抗しない。どうやら諦めたようだ。そして万引きした商品を取りだレジに並べ、問い質す。22歳の大学生だった。
「すいません！すいません！すいません！」
と何度も頭を下げ謝ってくる。
俺は、
「20歳過ぎて恥ずかしくないのか？
２度とするな」
とだけ伝えた。でも…怖かった。万が一ナイフでも持参してたら…足が震えてた…。今振り返っても、良くあんなこと出来たなぁと思う。