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2015/06/10 06:44
とある日の不思議な出来事 第2話
「無人の電車と謎の駅」第2話
金縛りにあったように動くことも声を出すことすら出来ませんでした。
ドアは音をたてて閉まっていきます。
ドアの向こう側、ホームに立っている少年はニヤニヤとして私の目を見つめたまま、電車はゆっくりと動きはじめ、少年は私の前からいなくなりました…。
この時点でうすうすは考えていたことがあります。けれど考えないようにして必死にそれを否定していたんです。
(私は死んでしまっているのだろうか…?)
どこへ向かっているかも分からない電車。不気味な少年に意味深の言葉。
これは死後の世界?いつの間にか私は死んでいて気づいてないんじゃ?事故?病気?それとも…
その時、静かな車内で着信音が響きだしました。私はとっさに自分の携帯を見ると父から着信
さっきまで圏外だった電波はアンテナが2本になっていました。
電話に出ると
「おいっ!いま何処にいるんだ!!まだ会社で残業してるのか!?ずっと連絡がつかないから心配したんだぞ!」
「お、お父さん!うっ、うわぁ〜ん、…」
私は父の声が聞けた安心感からか泣きはじめてしまいました。
私は今までの経緯を一通り話しました。電車の速度が遅くなっていきます。また駅が近い…。
「そうだったのか…、けどこんな時間に走っている電車なんて聞いたことないぞ?とりあえず駅におりなさい。」
「でも降りたって場所がわかんないよ…。」
「お前の携帯はたしかGPS機能がついてただろ。それから場所を調べて迎えにいってやるから。」
電車がタイミングよく駅に到着しました。ドアが音をたて開きます。
私は初めて駅に降りました。夏なのに空気は冷たく人の気配はありません。
駅名は「****駅」ひどく看板が錆びれており読むことは出来ませんでした。
乗客はもう誰もいなくなっても電車はゆっくり走りだしていきます。そしてあっという間に遠くの闇へ消えていきました。
「お父さん?降りたよ?」
「そうか。それじゃ一回、切ってお前の居場所を調べるからな。動くんじゃないぞ。何かあったらすぐ電話しなさい。」
冷たい機械音とともに父との電話は終了しました。あとは父からの連絡を待って迎えにきてもらえればいいだけ。
家に帰れるという安心感と父の声が聞けたため、私は心にだいぶ余裕を持つことができました。
携帯画面を見ると電池の残量が残り2個になっていることに気付き、すぐに携帯電話を閉じました。
またお父さんからの連絡がくるまでは使わないようにしない。
ここで改めて駅のホームを見渡してみます。
誰もいる気配はなくどうやら無人駅のようで、駅名板をみてみるとやはり酷く錆びれて読めません。
前の駅と次の駅については書かれていないようです。周りは見渡す限り、田んぼや山ばかりで真っ暗。何もありません。
(寒いなぁ。お父さん、まだかしら・・・。
そんなことを考えていると、
父から電話です。
「お父さん?」
「○○?大丈夫か?」
「私は平気。それより私がどこにいるか分かった?」
「それなんだが・・・」
どうやら私の携帯のGPS機能を使い調べてみたが、ポイントエラーとなってしまい、何度試しても分からなかった。
なので父の方から警察に連絡してみることに、私は周りに公衆電話や民家がないか見てくれ。ということでした。
私が前の駅名(高九奈、敷草谷)を言うとそれも調べてみると言い父との電話は終わりました。
周りをみてもやはり民家、公衆電話はおろか外灯すらありません。
(電池の残りは一個。父は警察に電話するっていってたけどいたずらだと思われるかもしれない。
駅名についても期待はできそうにないし、ちょっと歩いてみようかしら・・
(せめて民家だけでも見つかれば・・田んぼがあるんだから近くにありそうだし・・・。)
何分か悩んだ末、私は線路づたいに歩いてみることにしました。
父にそのことをメールし、私は前の駅の方向に歩きだしました。
1時間ほど歩いた頃でしょうか民家は未だに見つけることが出来ません。
戻ろうかとも思いましたが、もう戻ってはいけない気がしました。
時々、後ろから視線を感じるのです。怖くて振り向けませんが…。
それよりも気になるのはまだ前の駅に着かないことです。
前の駅までは距離がそんな無かったはずなので少し歩けば着くと予想していましたが一向に着きません。
この線路は永遠に続くんじゃないかとさえ思えます。
(もう、疲れた…。)
足の疲れに加えて、精神的な疲労、一人という孤独感、私はその場にへたり込んでしまいました。
最終話に続く…
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