競輪
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2013/12/18 15:42
ミスタートウジンを偲んで、繰り言が止まらない。
1998年の銀嶺Sの後、12Rの900万下を見たら、勝ち馬の時計がトウジンの60Kg背負った負け時計と
変わらなかった。で、最狂の厩務員さんにこういった。
「900万下まで降級させてくれたら、まだ勝ち負けできると違う？」
「そりゃ無理だ。だって今のトウジンは脚が痛いから勝手に加減して走っている。
相手が弱けりゃ、もっとゆっくり走ってくるよ。(笑)」
ミスタートウジンをダート馬だと思っている人に、芝だって走ったことを知ってほしい。
1992年のキャピタルSをご存知だろうか。芝１４００ｍ OP
勝ち馬は、サクラバクシンオー 55Kg
2着馬は、ミスタートウジン 58Kg
実はトウジンは、芝だって走る。でも、ダート適性が高かっただけだ。
ミスタートウジンの話は、結構デマがあったりしたので、当時の話を少し・・・
ミスタートウジンはなぜ引退しなかったか？
オーナーが引退させたくなかった (誤）
調教師が引退させたくなかった （誤）
本人が引退したくなかった （誤）
実は、最狂の厩務員一人が引退させたくなかっただけだ。(笑)
私は聞いたことがある。
藤立オーナー「なあ憲ちゃん、もう引退させようや」
最狂の厩務員 「いやまだやれる」
この繰り返し。(笑)
あの当時のJRAの競馬では、入厩頭数が多過ぎて、稼がない馬はすぐに追い出されていた。
しかし、トウジンのケースは逆で、オーナーがもう引退させようと言っているのに、
厩務員が断固として引退させなかった。
もちろん藤立氏の持ち馬なので、強引に引退させれば引退させることができた。
しかし、立派な藤立氏はそんなことをする人ではなかった。
ちなみに藤立氏は、元世界チャンピオン辰吉丈一郎のコミッションドクターでした。
理由を聞いてみた。
「なんでミスタートウジンを引退させないの？」
「兄ちゃん（当時私は若かったので）、競争馬が引退するとどうなるか知っているか？
種牡馬になれんかった男馬は乗馬クラブで、下手くそな素人を乗せて1日中歩くんだぞ。
そんなことを俺はトウジンにさせたくない。だから、とことん現役でやって、隠居料を
稼がせる。藤立さんにはそう言ってある。これからトウジンが稼ぐ金は全部トウジンの
隠居料だから、藤立さんの金であって藤立さんの金ではない、と」
当時私はなんて立派な人なんだ藤立さんは、
「良かったなあトウジン、うちに買われていたら、そんなのやってくれなかったぞ。」
と思った。(笑)
で、結局藤立氏の努力の結果、白井牧場が種牡馬として引き取ってくれた。
もちろん藤立氏のおかげなのである。
それで、さすがの最狂の厩務員さんもようやくあきらめた。(笑)
そして、その白井牧場で、息を引き取った。
やっと涙が止まった。
冷静に考えると、競争馬で老衰で死ねるって、滅多にない。
やっぱりミスタートウジンは幸せだったのかもしれない。
もう少し後で、ダート競争が整備されてから生まれてこれば、もっと幸せだったかもしれない。
でも、重賞はフェブラリーステークスだけという時代に
３億９０００万円稼いだミスタートウジンは、それはそれで立派だったし、
英雄だったと思う。
いかんまた泣けてきた。
なんかのレースで本馬場入場の時にアナウンサーが紹介した。
「ナリタブライアンと並んで、現役最多勝馬ミスタートウジン」と。
勝ち星も多いけれど、獲得賞金も多かったけれど、
みんなを一番喜ばせてくれたのは、やっぱり出走数だと思う。
ミスタートウジンどうか安らかに。
- ミスタートウジン
- サクラバクシンオー
- ナリタブライアン
