もう一つはナースでボックス

貸した本が読みたくなって、弟の留守中、部屋に入りました。

少し悩んだけど、いつも、かってに入ってくれてかまわないよ、と言ってくれるから、まあそれほど気にせずに。

「だいたいあの子このへんに置いとくのよねー」
と、物は多いけどきれいに整頓されたテーブルの上を見ると、平積みされた本の中に、目当ての貸した本がありました。
「そうそう、これこれ…」
って…。
「ん？」
いま、弟の部屋ではいままで見たことない類のものが…。

伸ばした手のすぐ真横。
「……」
めがねをかけていなかった私は、じっと顔を近づけてそれを確認すると、
「……」
手に取った本をそっと元どおりに戻し置き、部屋を出ました。


「丸の内OL…か…」


…いえ、この年でね、いまさらそんなの見たってなんということはないですよ？

そんな私なんてほらあれですから、ビッチだしね、下ネタもへいきだし、家族の前でだってふつうに言ってるしね。

そういうことじゃなくて、あれ、それはやっぱり友達とかならともかくっていうか？
いちおう身内だしさ…。
かってに部屋入ってさ、かってに見ちゃうってのはさあ？
まあ、いくら本人いつもいいよって言っててもさ、じっさい私、めったに入んないからさ。
うん…。
だからね…。
だから…。

そうか、職業モノが好みだったのか…。

いえ！
そうね私が悪かったわ。
忘れるわ…。

帰ってきたらそれとなく、本返してって言うわ。
持ってきてもらうわ。
そうする…。