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2013/08/27 00:14

感情の上がり下がり

晩ごはんを食べ終わって、父からまた同じことを言われました。

「〇〇(地名)に住んでる人と結婚しないか?」

前回言われたときは、

「私、男の人好きじゃないからだめだと思うわ」

と答えました。
それで断ったつもりだったのですが、前のことを忘れてしまったのか、冗談だと思っているのか、とにかく二度目です。

同じこと何度も言われるのって、むかつきますよね。
繰りかえすのって面倒だし。

ここはいっちょ、もうすこしはっきり、てかきつめの言いかたをしないと、三度目があるかもしれないなと思い、

「私、セックスはしてあげられないから、子どもは産んであげられないわよ。
家事はしてあげてもいいけど。
あちらの親御さんは、それじゃあ困るのじゃないかしら」

と答えました。

みなさんには違和感があるでしょうが、田舎に住む年寄りの多くにとっては、いまだに、結婚イコール跡取りをつくること、嫁は家政婦です。

それ以外の要素、たとえば、恋愛の延長であるとか、は、特に意味はありません。


それで話は、まあ終わったわけですが、
そこで、なぜだと訊かなかった父は、
私のその答えが、言い訳でも取り繕いでもないことをわかってはいないのだろうと思います。

父は先に自室へ戻り、それから母とふたりでテレビを見ました。
それから、母が部屋に戻ってしばらくして、弟が帰宅しました。
夕食のあと、出かけていたようです。

「お母さんは、もう寝りにいっちゃった?」
「うん、さっき」
「そっか」

答えても立ったままの弟に、何か母に相談があったのかなと思い、
「ちょうどいまだよ。まだ起きてると思う」
「うん…」
弟はうなずき、私はまたテレビに目を向けました。

「あのね…」
「うん?」
「結婚することになりました」

その瞬間の、複雑。
さみしさとうれしさと驚きと納得。
数時間前の父の顔と何も言わない母。自分の気持ち。
弟と彼女と、先に結婚した妹と義弟の笑顔。

「…そう」
「うん。そうなりました」
「…あ。まだお母さん起きてるよ」
「今から言ってくる」
「そっか」
「うん。細かいことは、また、おいおい」
「うん」

居間から出ていく弟を見送って、私はテレビを消しました。
エアコンと扇風機を切って、電気を消して、そこで、はっと気づきました。

母の部屋に行き、中にいる弟に声をかけます。

「言い忘れた。
おめでとう。
おやすみ」

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