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2015/05/04 14:26
天皇賞「春」を振り返って
1着から5着までに産経大阪杯組と日経賞組が1頭もいなかったのは偶然だろうか?
春の天皇賞と言えば一昔前は阪神大賞典が王道のステップレースであった。オールドファンになりつつある自分にとっては、予定していた阪神大賞典を使えずに仕方なく産経大阪杯を叩いて3連覇を逃したメジロマックイーンや、復帰戦の大阪杯を骨折明けの超久々にも関わらず追ったとこなしで大楽勝したものの、本番の春天で土埃りの中に無残に散ったトウカイテイオーなど中2週で淀の3200mを戦わなければならないこのローテンションに疑問を持ちあまり好きではなかった。
それから時代は流れ、現在では阪神の3000mをステップにするには過酷過ぎて本番では疲れてしまうのであまり良くないステップのように言われ実際にも大阪杯組や日経賞組からが好成績を残してきたが、実はそうして活躍してきた馬たちはその後があまり良くないように思える。
馬は生き物である。それは十分に分かっているつもりだが、辛いとも苦しいとも一言も発さない馬たちにややもすると頭で理解してるだけで、実のところ車やバイクのように手入れさえすれば黙って走る「モノ」のように捉えてしまっていないだろうか?
そんな自分たちに昨日のゴールドシップのような振る舞いは馬が生き物であることを思い起こさせ、感情があることも改めて感じさせてくれたような気がする。
キズナはスターホースではあるが、父親のようなスーパースターではない。それでも父と或はそれ以上の期待を背負わされて一生懸命に走っている。個人的には春天も勝つ能力は十分にあるが、それは無条件にと言えるほどではない。
彼はダービーで頑張り、フランスで頑張り、それで疲れてしまって暫らく休養するしかなかった。それから見事に復帰をし、中2週で臨んだ天皇賞も惜しいとこまで追い詰めたが届かずまた長い休養に入った。暫らくは本当に牧場でのんびり過ごしていたことだろう。心身共に鋭気を養い少し重く感じた体でも頑張って惜しい3着に負けてしまった。負けたことや勝ったことが馬に分かるのか?それは馬によるらしい。有名な話しだとかつて皇帝とよばれたシンボリルドルフは負けた日は馬房を蹴って大暴れしたと言う。
そして、今年もステップレースに選んだ産経大阪杯は泥んこの不良馬場だった。関係者からもレース直後はさすがに疲れが出ていたと言う言葉がきかれた。その後もう大丈夫との声が聞かれたが、もちろんキズナ本人の言葉ではない。
今年こそと頑張ったのはウインバリアシオンも一緒だった。しかし、彼が今年もステップレースに選んだ日経賞はその時期の中山競馬場としては例年ならば考えられないようなレコード決着だった。今年に限ってはこの2つのステップからきた馬たちにはもう余力が気持ちが残っていなかったのかも知れない。
善戦を目指すだけならば、カレンミロティックやフェイムゲームのような乗り方でも良いのだろうと思う。しかし、持っている力以上に期待を背負ったスターホースには勝つことしか求められていなかった。僕は批判はあるだろうが、あれはキズナが勝つための乗り方だったと思っている。
古馬の中長距離戦線はこれようやくで少し間が空くことになる。どの馬も鋭気を養って次を目指して欲しいと思う。特にゴールドシップは去年も一昨年も勝てなかったレースを勝ったのだから無理に既に持っている勲章を増やす必要はないと思う。そうすれば、秋、また違うメダルも取ることが出来るかもしれない。彼のおじいさんもお父さん引退になったレースが一番強かったと言われる大器晩成型なのだから。