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2015/10/17 19:44

掌(手のひら)から零れ落ちたもの

第20回秋華賞を迎える。
他のクラシックを考えると、まだ20回かとも思うが秋華賞が誕生した瞬間を知っている者としては、もうあれから20年も経つのかという感慨もある。まだ20世紀、世の中はまだ何となく弾けたバブルを直視せずまだまだ浮かれた空気の中にあった。そして迫りくるくる世紀末とドラえもんの世界でしかなかった21世紀がやがてやってくることに漠然たる不安と期待をみんなが共有していたような時代だった。
あれから20年。それからの10年とその後の10年では競馬の様も随分と変わってしまった。サンデーサイレンス旋風が日本を駆け抜け、そのサンデーが晩年に送った名馬ディープインパクト。引退してもうすぐ10年経つが、もしかしたら僕らはこの10年ディープインパクトロスの中にいたのかも知れない。もちろんその後にもオルフェーヴルなど強い馬は誕生したのだが、あまりにもディープが騎手も含め全てを兼ね備えたスター過ぎてしまって、中々心に開いた穴を忘れることはできても埋めることはできなかったのも知れない。
しかし、それは仕方のないこと。競馬とは無常なものなのである。人の20年を4年間に凝縮して魅せてくれるのが競馬である。
それは儚さの連続だ。
いい加減そろそろ今年の秋華賞の話しにとは思うのだが、もう少しだけ寄り道を。
この前、TVの某番組で20年振りの佐野量子と初めてとなる武豊の自宅を拝見した。多分奥様の趣味であろう洋風の建物はまるで大聖堂のような大きな扉で、現実感とはかけ離れたお城のような住まいであった。
近年苦しむ姿が焼き付いていてすっかり忘れかけていたが、彼はJRA史上最も華々しい活躍を続けてきた類稀なる成功者なのだ。その大きな邸宅と、20年経ってもどこか可憐でかわいらしいままであった量子夫人の姿はそれを思い出すには十分な映像であった。
では、彼は既にそれだけのモノを手に入れながら何をモチベーションに騎手を続けているのだろうか?
それは彼自身長いディープインパクトロスに陥り、その間に掌から零れ落ちていってしまった多くの物をその手自身に取り戻したい、取り戻さずに終わってなるものかと言う強い執念があるのではないかなと思う。そして、それが本当に叶うのか?それを占うのが今回の秋華賞ではないかなと思っている。
失くしたものを埋めてくれるのは無くなったものではなく、いつだって新しい何かである。そして彼が一番取り消さなくてはならないものは期待と信頼ではないかと思う。
それに相応しいのが今回乗るトーセンビクトリーだと思う。
馬主、厩舎、血統、臨戦過程その全てが全盛期の武豊ならば必ず勝利に導く「何か」を持っていた。その「何か」を取り戻さなければ100勝したって4000勝したって僕らや彼自身の何かを埋めるにはいたらないだろうと思う。
ここで武豊は今でも彼こそがナンバーワンでありオンリーワンであることを証明できるのか?そうでないなら我々はもうしばらくどれくらいの時を待たなければいけないのか分からないが武豊ロスのなかどこか悶々とした気持ちのまま悠久の時を過ごさなければならない。勝ってくれ!そうすれば来年彼はまた輝きだせると思っている。

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