日本ダービー　勝敗を分けた騎手のトラウマ

今回のダービー勝ったのは川田騎手騎乗のマカヒキであった。
その勝因は勿論その能力にあると思うが、贔屓目なしに見て今回のダービーでは４頭の馬に勝利のチャンスがあったと思う。
その命運を分けたのは前走の皐月賞をどう踏まえたか？騎手の判断力だったように思う。マカヒキとサトノダイヤモンドは前走の敗戦を踏まえ今回はより積極的に騎乗したように思える。そして３着に敗れたディーマジェスティは皐月賞と同じようなレースはできたがより積極的なレースはできなかったように思う。そして５着に留まったリオンディーズは皐月での失敗からか最も積極性を欠いたように思えた。去年のドゥラメンテとは真逆なレース振りでミルコは皐月賞の騎乗停止以降の不調を引きずったまま本番を迎えてしまったように思う。エアスピネルにも遅れた５着だったがこの馬にも十分にダービーを勝てるだけの力が備わっていたのは間違いない。間違いないが、今振り返ればボタンの掛違いは急遽参戦を決めた朝日杯Ｆにあったように思えてしまう。あそこでエアスピネルと武豊のＧ１完全制覇を破って採冠したのは良いが、それによって失ったものも大きかったのではないだろうか？
２０００ｍを新馬戦に選んだのはそれなりの意味があったのではないかと思う。優秀なホースマンでありながら時に不可解なローテンションや騎手の配置をすることがある角居調教師。それは彼が一切オーナー側に対して物言わぬイエスマンであることが一因ではないかと思う。それはそれで彼の哲学なのかも知れないが、その犠牲になった馬たちも間違いなくいるように思え苦言をていしたくもなってしまう。

そして一番応援していたエアスピネルは残念ながら今年のメンバーではダービーを勝ちきる力が足りなかったというしかない。逆に言えばそれだけ納得のいくレースをしたうえでの４着だったとも言える。実は直線を向いて１発目のムチが入った時に敗戦を覚悟したのだが、それでも早々にムチが入ったわりには良く頑張ったと思う。あと0.4早い上りが使えていたら勝ち負けだったがそこまでの瞬発力は現時点ではなかった。

最後に、一つだけ納得いかないことがある。それは柏木氏のコラムで全く４着に頑張ったエアスピネルに一言も触れていなかったことだ。自分が無印にした馬が好走したのは触れにくいことかも知れないがもっと着順の悪かった馬にも印を打っていたのだから一言くらいは触れても良かったのではと思う。なぜ予想をはずしたのか？いや、そもそも多くの予想家が自分が外したことにも触れやしない。騒ぐのは的中した時だけだ。馬や騎手の敗因を語るなら自分自身の敗因や反省も語ってもらいたいものだと思う。我々と違ってそれを生業として生計を立てているプロなのだから。