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2018/09/30 01:19
4000の喜び。21237の悔しさ。
誰よりも勝つ喜びを知る騎手であり、誰よりも勝てない悔しさを知る騎手でもある武豊。大きな落馬事故から勝てなくなり、かつてはレースに勝たない日があるとそれがニュースになる程勝つことが当たり前だった騎手にとって、キズナでダービーを勝つまでの間どれだけいたたまれない気持ちでいたことか・・・。武豊TVも勝ったレースが少ないものだから2着や3着のレースを重賞でもないのに取り上げなければならないほどだった。彼はそれでも周りに気を使わすことないよういつも笑顔を浮かべていたが、こちらで見ていて分かるほど人が離れていった。自分が武豊を応援するようになったのはその頃からである。それまでの武豊はひねくれ屋の自分の応援なんて必要とする人ではなかった。
彼はよくその実績から天才騎手と呼称されることが多いが、本人はそれを否定している。謙遜ではなく自分も武豊を天性の騎手だとは思うが、決して天才タイプの騎手だとは思わない。誰よりも研究熱心で若い頃から世界に目を向けあらゆる環境に身を置き、積極的に技術だけでなく馬具なども取り入れてきた。ここ10年で競馬を始めた人には武豊の凄さ何てきっと分からないだろう。競馬はどんなに高い技術があっても強い馬に乗れなければその力を発揮しようがない。ゴドルフィンのトップマネージャーやオリビエペリエが彼を世界TOP5に入る騎手だと持ち上げても、現実は今や日本のリーディングでさえTOP10が良いところだ。
しかし、それでも彼は今でもナンバーワンのジョッキーだ。本当の技術何て自分らには決して分からない。何をもってして上手いというのかさえも分からない。しかし、未だに彼の残した記録は何一つ塗り替えられていない。もしかするとそれは本人にも既に無理なことなのかも知れない。しかし、やがて彼が現役を去ったあとその残した足跡に誰しもが武豊をJRA史上最高の騎手だと評価することになるだろう。
今日も前後に背中が激し揺れる騎手が殆どの中、ほぼ背中が揺れることなくスーッとまるで糸を引くようにコーナーを上がっていく武豊の姿があった。その騎乗フォームの美しさもきっと歴史に残るはずだ。勝てないことを誰のせいにもしない。勝てたことを自分だけの手柄にしない。最もファンが多く最もアンチも多い騎手。いつだって武豊は最高だ。彼が5000勝を目指すといったら笑う人もいるだろうか?しかし、残念ながら彼は5000勝を目指しはしない。その何倍もの悔しさがある限り、5000勝ったって、例え10000勝ったて満足することはないだろう。だから彼は5000勝を目指さない。いつだって目指すのは次の1勝だけだ。そしてその1勝をこぼすことなく馬券に結び付けるのが自分のこれからの役目だ(笑)