第162回天皇賞　秋　レース回顧

本命に推した馬がビリッケツだった奴にレース回顧をする資格があるのか？とも思うが、そもそも誰かに読んでもらうためではなく、あくまで競馬日記として自己に向け綴っているものなので、（勿論閲覧も感想も歓迎ですが）今回も感じたままに残しておこうと思う。
アーモンドアイが強いことも誰でも知っていたし、その強いアーモンドアイが前走で負けたことも知っていた。だから、陣営の負けられない！という気持ちはあのクリストフの涙にも現れていたと思う。その走りはまるでそんな気持ちを汲み取ったかのような走りだったと思う。
アーモンドアイが100％の出来だったかというと実は返し馬を見た限りではそうとは自分の目には映らなかった。良いときに比べて前足の伸びが少し足りないように感じた。ただ、精神的にはフラットで良い状態に見えた。
返し馬で今日は良さそうだなと感じたのはキセキだった。だから期待に胸膨らませて馬券はアーモンドアイとキセキから買い、追切後よりもさらに馬体重を減らしてしまったダノンキングリーはアーモンドアイとの馬単の裏表だけ悔いがないように買った。
レースはアーモンドアイがスタートを決めキセキをいや武豊をマークする形で進んだ。多分クリストフの武豊に対する信頼は絶大なのだろう。絶対に勝ちに行くときは一番安全な武豊の背後に付けることが多い。ペース判断も間違わなくて済む。
去年のジャパンカップと同じ。あの位置にアーモンドアイに付けられたら先行馬は仕事ができない。アーモンドアイは一度も後ろの馬に交わされたことはないのだ。
それでも今回は先頭に立ってから少し苦労をした。追い出す前の手応え程は伸び切らなかった。それでフィエールマンとクロノジェネシスに詰められたがそれでもアーモンドアイは交わせさせる気はなかっただろう。名馬とはそいうものだ。ただ速いのではなく、ただ強いのではなく勝つということも負けるということも理解をしていてゴール前に気持ちが見えるものだ。
「絶対に抜かせない！」そんな彼女の意志が伝わってきたゴール前だったと思う。
予想で上げた馬はダノンキングリー以外はちゃんと期待に応えて走ってくれた。キセキはここ数戦で一番上手な競馬をしたが、それでは敵わないのも事実だった。活路は逃げるしかなかったが、それもダノンプレミアムに奪われてしまった。
一方そのダノンプレミアムの川田ジョッキーは行くと決めていたようだった。この馬の全てを出し切って敵わないなら仕方がないだろうという玉砕覚悟の騎乗に思えた。
一番悔しかったのは２着のフィエールマンではなくて３着に破れたクロノジェネシスだろう。本当は一度はアーモンドアイに並びかけられるような位置取りで競馬がしたかったはずだ。ただ、クロノジェネシスはこういうワンターンに近いコースだとポジションが取れないことがままあるのも事実で、その辺は騎手も意識が足りなかったかも知れない。自分より強いかもしれない相手を倒そうとする時は馬を信じるだけでは勝てないものだと思う。
２着のフィエールマンはテン乗りだし、こういう状況での福永騎手の得意の死んだふり作戦がハマった。そもそもフィエールマンはディープインパクト産駒の最高傑作の１頭に数えられても良い存在だ。あれくらいは走って不思議はないし大箱のコースも得意だと思う。惜しかったのはクロノジェネシスとアーモンドアイがもう少し早く先頭を争ってくれていたら漁夫の利が転がり込んできたかも知れない。まあ、それでもアーモンドアイがその分だけ頑張ったかも知れないが。彼女はそういう馬だと思う。
アーモンドアイが手にした８つの王冠に対して色々の論議があるかも知れないが、実際に一緒に走れない者同士を比べることはそもそもナンセンスだと思う。大事なのはその時代で一番強い事を証明することだ。その意味でもアーモンドアイには無事ならばジャパンカップに向かって若い最強馬たちとそれこそ雌雄を決っして欲しい。後に逃げたとそしられては手にした王冠の輝きも鈍るというものだ。王者ノーザンファームとしても是非その挑戦を受けて欲しい。そしてスキあらば全部をワールドプレミアで差し切りたいとスケベ心も忘れてはいない笑