それでも僕はトーセン・ラー

勝負の朝を迎えた。こんな挑む気持ちの朝は久し振りだ。ふと、去年の春の天皇賞を思い出す。去年もオルフェーヴルと言う怪物に挑む気持ちで天皇賞を迎えていた。ずっとオルフェーヴルの２着に甘んじてきたウインバリアシオンに武豊が跨り打倒怪物を目指したが、怪物は淀のターフにもがき、怪物を打倒することだけを考えていた武豊のスパートは遅れ、結果３着に甘んじてしまった。僕の戦いも敗れてしまった瞬間だった。それにしても最近の春の天皇賞はかつての宝塚記念のように、生涯一度きりの激走、爆走をして「天皇賞」戴冠する馬が多いように思う。過去10年で最後に人気に応えたのがディープインパクトだと言うのだからいつのまにかとても難しいレースになってしまったものだと思う。
しかし、驚くことにそのディープの勝った年に出走し、今年も出走してくる馬がいる。トーカイトリックだ。この馬のおかげで過去の天皇賞を振り返るのが楽になる。彼の成績をたどっていけばそれはそのまま過去７回の天皇賞の歴史だ。一緒に振り返って見ると、え！この馬が１番人気だったの？と言う馬が多い。本当に負けて不思議だったのはオルフェーヴルくらいのものである。今回伏兵として参戦しているフォゲッタブルもそのうちの１頭だ。
そう考えると、今年の１番人気はちょっと違う。今年の１番人気は既にG1を３つも勝ち、前哨戦も難なくこなしてかつてのオグリキャップやメジロマックイーン、ビワハヤヒデに続く「芦毛の怪物伝説」を引き継ごうとする馬である。無事ならば、かなりの確率で人気に応える資質を十分に持っている馬である。そして、そのライバルと目されているのがフェノーメノ。ダービーで際どい２着に敗れ、しかし、ゴールドシップには先着をした。誰もが菊花賞での再戦を期待したが、フェノーメノが「大人の選択」をしたためここまで実現しなかった。そしてお待ちどう様！3番人気にはトーセンラーが二桁配当ながら支持されております。
しかし、これはあくまで一般の方々の支持であって、プロの方々の予想では無印や、精々△止まりも多い。これはどういう事なのか？確かに京都記念を勝つまではきさらぎ賞以来ずっと未勝利であった。しかし、前走でゴールドシップの２着したデスペラードには武豊が騎乗しており、そのユタカがデスペラードではなくトーセンラーでの参戦を決めたのは当然ラーの方が「勝てる」と感じたからではないかと思う。なのに、あの各紙の予想を目にすると何か自分が間違っているかのような錯覚に陥ってしう（笑）自分には前走、デスペラードでゴールドシップの脚を計ったユタカがこれならこっちだと手応えを感じて選んだのがラーだと解釈している。残念ながら、最近のユタカの騎乗馬ではゴールドシップの脚を計れるような馬にはなかなか騎乗する機会に恵まれなかった。だからこそ、少なくともデスペラードに後れを取ることはないだろうと思っている。それでもラーで勝負するのが不安な方はこの馬が勝ったきさらぎ賞を見ていただきたい。その時の２着がオルフェーヴルで、３着がウインバリアシオンである。オルフェが本格化前だとおっしゃる方もいるかも知れないが、ちゃんとオルフェは最速の上りを使って走っている。クラシック路線とは難しいもので、ちょっとしたボタンの掛け違いがこの馬の運命を歪めてしまった。それは絶対的存在であったにも関わらずもがいている武豊の現状とも重なって見える。去年と一昨年の菊花賞を見比べれば、その時点でのオルフェーヴルとゴールドシップとの差は２馬身。それはあまたにいる２冠馬とわずか７頭しかいない３冠馬との違いとも言える。だから、きさらぎ賞で見せたトーセンラーの走りを信じて、間違いなくＪＲＡ史上最高の騎手である武豊の目を信じて今一度怪物に挑む決意である。勿論、相手とは自信も違う。向こうの勢いに飲み込まれてしまう可能性もあるだろう。しかし、それでも僕はトーセン・ラー！このコンビを信じて打倒怪物に再び挑みたいと思う。１枠１番。覚悟を決めるには良い馬番でないかなと思う。そして、それでも勇気が足りないと言う方には、武豊が春天を６勝しているという事実と、複勝率７割５分もあると言う事実をプレゼントします！