夢と希望と現実と

父ディープインパクト母の父ストームキャット。ディープのニックスとしてとても相性が良いとされる組み合わせである。
誰しもがキズナの完全復活と更なる期待と希望を持たせてくれるような勝ち姿を望んだ産経大阪杯。しかし、残念なことに２着に沈んだ。勝ったのは全くキズナと同じ血統背景を持つラキシス。鞍上はクリストファー・ルメール。今年からJRA所属の騎手となりすったもんだはあったが間違いなく世界的評価のある名手の一人であり、そして、国内で唯一ディープが敗戦した有馬記念のハーツクライの鞍上でもあった。
思えばユタカはルメールとあまり相性が良くない。個人的には武豊の凋落はあの落馬事故ではなく、JCでのウォッカの乗り替わり劇に始まっていると思っている。当時乗り替わりについて本人は何の連絡もなく単に依頼が来なかっただけと振り返っている。その時乗り替わり見事に勝利したのがルメールであり、厩舎はラキシスと同じ角居厩舎であった。
さて、改めてなぜ今回キズナは負けたのか？馬場、体調、展開、枠順・・・。いくらでも考えられるが負けた理由にできても勝てなかった理由にはならない。勿論ルメールは上手く乗っている。これが有馬記念だったらジェンティルと好勝負だったかも知れない。有馬は着順こそ悪いが差は0.2だから勿論ラキシスも強い馬だと思う。新馬戦では同じ阪神2000メートルでデビューして33秒台の脚を使って楽勝している。では、キズナが弱いのか？そもそもどれくらい強いのか？はそれぞれの思い方で違ってくるのだろうが、少なくとも今回のメンバーでは一番強いと思った人が多かったからの圧倒的一番人気であろう。しかし、一つ分かっているのは父親ほどは強くないということである。何が違うかはコーナリングでのスピードが違う。
だから、今回は自分は武豊に寄ってキズナは敗戦したと考えている。勿論、３着には３馬身離しているわけだからキズナの能力も高いし、ユタカの判断も必ずしも間違っていない。しかし、それはルメールのいるレースではダメだと思う。あの乗り方は強い追い込み馬を破る為のルメールの必勝法だ。先に仕掛け外を回した時点でこの結果の陥る可能性十分である。だから、僕は今回は良馬場でも同じ展開なら同じ結果だったんじゃないかなと思う。
結論
今回キズナと武豊はルメールと角居厩舎に負けた。僕はキズナはディープのように外を回してはいけない馬だと思っている。外を回したのは勿論馬場もあるが、これでも勝てると思ったユタカの油断に、彼を誰よりもリスペクトしているルメールが見事にその隙をついた結果だと思う。
対策
キズナは体が大きくなり益々コーナリングで加速が難しくなってきている。ディープのような乗り方をするなら４コーナは捲りきらなくてはダメだと思う。ただ、それで末が甘くなるなら直線まで内に入れてじっとしているべきだ。例えるならディープよりもダンスインザダークやスペシャルウィークのようなレースの方が向いているんじゃないかなと思っている。そうすればキズナなら32秒台で上がって来れるんじゃないかなと考えている。切れ味は父親にも勝るはずだし、それがストームキャットの血ではないかと思う。
希望
丁度二年前。キズナとユタカはクラシックに乗り損ない苦しんでいた。その苦しみの中である意味開き直って生まれたのが今の戦法である。それにより彼はダービー馬になり、武豊復活の狼煙となった。僕はキズナは間違いなく当時より成長していると思っている。しかし、成長はしているが強くはなっていない。強さの証明には結果が必要だ。だから、キズナは今一度成長に見合った戦法を考えなくてはならない時が来ていると思う。
誰しもが成功体験は手放しがたいものである。しかし、そこに囚われていてはそれ以上の成功は決して手に入らない。
だから、僕はこの敗戦は希望だと思う。上手く立ち回って鼻差勝つくらいならしっかり負けて良かったと思う。きっとこの敗戦が二年前と同じようにユタカにチャレンジャーの気持ちと思考をもたらせてくれるものだと信じている。そして、もし次も同じように戦って同じように負けたなら鞍上を替えた方がキズナのためになるんじゃないかなと思う。しかし、きっとそうはならない。僕は誰よりも彼に期待をし、信じている一人である。キズナの第二幕はこれから幕が開ける。