お客様

　私が外出先から帰ってくると、程なくお客様が来た。
初めての方で、連れの方と一緒に来ました。

ひとりは推定８０歳以上、もうひとりは４０歳くらい。
いきなり、『１００万円で中古車が欲しい』とのこと。
そういったのは８０歳のおじいちゃんだったので、
『この方がのる車』と判断しました。

どうやら、連れの方は他人で、福祉関係の方かなと想像しました。
私は心の中で『運転大丈夫かな？』『家族の方の意見はどうなんだろう？』
などと、そちらのほうを心配してしまった。
１００万円で軽トラの中古…
ずいぶん高額ですが、売ろうと思えばできます。
もちろん、新車より中古の方が利益は出ます。
でも、それはしません。
『新車なら、車体諸経費でもう少し出せば買えますよ。』と説明しました。
結果、あまり車種等具体的にわからない方なので私がオススメしたかたちです。

先程の話に戻りますが、
『おじいちゃん危ないから運転やめた方が』なんて、
言う権利もないし、
もしかしたら、そんなこと第三者に言われたら、
ひどく傷つくかもしれない。

なぜなら、
車に乗って荷物運んだり、ちょっと遠出したり、
そんな楽しみを抱いてくるまやにわざわざ足を運んでくれたおじいちゃんの
夢を摘むようなことになるのだから。

私は、そう思いながら新車のカタログを取りに行った。