長老、引退す

ウチの会社に55年(凄くね？)勤めた
長老(あだ名)が本日をもって
退職する事になりました。

僕や社長の息子、同僚、後輩らと
何か出来ないかと思案してると
僕が思い出します。
「あの人、1人用のソファが
欲しいと言ってた」
同僚、社長の息子が
それや！ってなり、家具屋へ。
みんなで出し合って
そこそこする
リクライニングソファを購入。
車に載せて帰り、長老を呼ぶ。

「じゃーん！プレゼントですー！」

びっくりした顔で固まったあと
笑い出す長老。そして

「ワシは、お前らに
何もしとらんのに、こんなええもん…」

声、震わせながら泣き笑いの長老。
みんなで長老の肩を叩きながら
笑い合いました。
「何を言ってるんですかー！」って。

その後に花束とチョコレートを
女の子らが金を出しあって買い
僕らの元へぞろぞろ来ました。
営業中やけどね（笑）
今日の今、この時間は特別。

「すまんのぅ、すまんすまん」

と、花束とチョコの
詰め合わせを貰い歩き出す長老。

この「すまんのぅ、すまん」
この一言で、いろんな客と
渡り合ったのです。
僕らの手に負えない客でも
これは通用しました。
「◯◯さんが言うなら…」と。
長老の人徳の大きさを感じてました。
笑顔でひらりひらりと交わす
その技はウチでは
彼しか出来ないのです。

僕らは、ひょこひょこと歩いて
退社していく長老の後ろ姿をみながら
時代の区切りを見つめていました。
明日から寂しくなるなぁ〜。

あ、ソファですが
自宅に運んであげました。
まぁ、真新しいソファが
テレビの前に
すでにあったのはご愛嬌（笑）
長老の奥さんも喜んでたので
良しとしよう。