過去の思い出　1996年　第56回　皐月賞　番外編

過去のレースの思い出、馬券自慢を勝手に語ってみる企画。
今回は先日の1996年皐月賞の振り返りの番外編として、当時の個人的な馬券事情のお話。
　

皐月賞の内容と結果、そして予想の仕方と馬券の結果は前回記述した感じ。

馬券としては馬連1点買いでの見事な的中といっていいだろうが、実は個人的にもっと会心の出来事があった。
　

前回のコラム内でも書いているが当時の競馬関連の情報収集能力や、さまざまな時代背景の影響もあって非常に偏った見方をしていて、当時ロイヤルタッチとイシノサンデー以外の組み合わせはほとんど考えられなかった（あくまでも個人的見解である）。
　

当然世間でもそうだろう…と非常に強い思い込みもあって、このロイヤルタッチとイシノサンデーの組み合わせ自体が相当売れて、配当もそこまで期待できるものではないと見ていた。何度も言うが現在とは様々な環境が異なる時代であり、馬券を買う手段は場外馬券売り場か直接競馬場に行くしかなかったし、刻一刻と変化していくオッズそのものを知る手段が無かった。


この時の個人的な感覚で想定したのがこの組み合わせの馬連で3.0〜4.0倍程度。1点勝負とはいえ、わざわざ馬券売り場まで行って当たったとしてもこの配当では…という思いがあった。当時一番近い馬券売り場は梅田ウィンズか河原町ウィンズ。少なくとも競馬場に直接行くよりかは近い。しかし

「3.0倍程度なら買う価値（わざわざ買いに行く価値）があるのか…」

これが一番悩む要素。当時Ｇ１レースの購入予算は1万円であり、想定オッズからすると1点1万円の勝負に出て的中しても3万円。今では立派な数字だとは思うが正直これが割に合わないと当時は考えていた。
　

ギャンブル凶と言われてもしょうがないが（特に当時は）、この時は競馬同様にパチンコの方にも結構嵌ってた時期。当時のパチンコ業界を知っている人ならわかるのだろうが、このパチンコの世界でも今では考えられないほど短時間で結構なバックが期待できる分野。1日3万円程度のプラス収支ならパチンコでも全然期待できたし、それだけの自信もあった。ちなみに当時のお目当ての台はフィーバークイーン。シブチン大阪の2.5円の換金率でも連荘と引き際の見極めさえ正しければ午前中の2時間で普通に稼げる可能性のある金額だった。
　

馬券を買いに行くかどうか悩んでいる時に得た情報が皐月賞の前日オッズ。これは日曜の新聞の朝刊で、当時（今現在普通の新聞を取ってないので分からない）は普通紙の新聞でもＧ１レースのみ前売りオッズはスポーツ蘭に掲載されていた。今でも忘れない、この時に見たロイヤルタッチ、イシノサンデーの馬連の組み合わせの前売りオッズが5.5倍だった。
　

これを見た瞬間「このオッズなら…！」
瞬時にゴーサイン。
ここからの行動が我ながらすごい。
　

時刻は朝の7時半。
急いで朝飯食って家を出る支度をして8時過ぎに家を飛び出る。
駅に向かって8時半の特急（私鉄の特急ですよ）に飛び乗って一路梅田へ直行。
梅田ウィンズ開店とほぼ同時の9時過ぎに梅田到着し、即座に馬券を購入。もちろん例の馬連1点1万円の馬券。
即座に踵を返して梅田の駅に直行。来た時と同じく特急に乗って地元にトンボ返り。
10時前に地元駅到着。急いでパチンコ店へ行くが…おお…すでに20人くらい並んでる！（当時どれだけ並んでも整理券なんてない）　お目当ての台は確保できるのか不安で一杯…。
10時ちょうどにパチンコ店開店。10時1分お目当てのＦ・クイーン確保。
「よっしゃ！計画通り！」
　

結局何がしたいねんという感じだが、この頃は競馬よりもパチンコの方が比重が高いという事が証明される行動履歴。でもこうやってパチンコと競馬の両立を図っていた時期でもある。
　

ちょっとパチンコの結果までは覚えていないのだが、肝心の競馬の方の馬券はご存知の通り1点買いが見事的中。
　

ただ驚いたのがロイヤルタッチとイシノサンデーの馬連組み合わせは何と9.1倍。1万円1点勝負なのだから結果的に9.1万円。3.0倍想定から5.5倍になって大喜びして勝った馬券が、蓋を開けてみれば9.1倍にまで高騰していたのは実に嬉しい誤算。当初の想定から3倍に増えており、それを1点的中はまさしく会心の的中だった。
　

この90年代半ばから2000年代初めまでこの1点1万円勝負は何度かやったが、すべて2.0〜5.0倍程度のものばかり。10万円近くの払い戻しがあった1点勝負はこれ以降は無い。それ故にやはり思い出に残るレースとなっているのである。