15件のひとこと日記があります。
2012/03/04 01:28
季節の記憶としての馬
目が冴えて眠りにつけない。
競馬を始めて来、今夜のようにレースのことで心が一杯で
眠れなかったことが1回だけある。
メイショウサムソンの宝塚記念。
土曜の夜に大阪まで出向き、ビジネスホテルに泊まった夜も
目が冴えて明け方近くまで眠れなかった。
当日は冷たい雨だったが、良い位置を確保しようと午後から
傘を片手に立ちっぱなしのままゴール前に陣取った。
レース直前、それまで開いていた数多の傘が一本また一本と閉じられ
私を含めたファンは雨に打たれたままレースを観戦した。
レース結果は2着。
武豊騎手の手綱のもと、中団から進出したメイショウサムソンは
ゴール手前でエイシンデピュティを捕らえたように見えた。
その一瞬一瞬をスローモーションのように今でも思い出すことができる。
雨はレース後にあがり、コースを跨ぐように二重の虹が架かった。
一面を覆っていた雲の切れ間から静かな光が射し込んでいる。
最終レース出走馬が返し馬を終えてスタート地点へ向かっていく。
その方向に光が幾重にも降り、一頭また一頭と光の渦へ消えていった。
この光景を私は一生忘れないだろう。
今日の弥生賞には、メイショウサムソンと同じように季節の記憶として
私の心に刻まれる予感のする馬が出走する。