競馬で風邪が治る3

ただ、思い入れのある方には申し訳ないと思うが、上位人気馬、8番オウケンブルースリはどうしてもここで馬券に絡むと思えなかった。前走で久しぶりに二着で強いところを見せた七歳。戦歴は猛者だが二回連続して、このメンバーで三着までに入るか？と単純に考えたとき、直感で、あ、これはないパターンだなと（結果論ですけどね）思い、初めから頭には入れなかった。ビートブラックがいたのでそれがよくわかった。あの馬も次のレースは大きく負けている。その代わり二着、三着にはちゃっかり入れてるんだけど。調教もいいみたいだったし。

では馬券内人気のもう一頭、7番ムスカテールはどうか。
まず名前を初めて聞いた。
アラビア人ぽい名前だ。
天空の城ラピュタには何の関係もないと思う。
競馬新聞がやたらと褒めちぎる。どんな競馬でもできる自在性、距離適正なんとかかんとか。調教はばっちりの様子。
それでもピンとこない。こないったらこない。
とにかく頭は無いと思った。二着、三着にはちゃっかり入れてるんだけど（二回目）。競馬新聞の言うなりにはならないぞ、と。反骨精神、パンクの心はいつもあるぜと。それで負けて帰り道ぶつぶつ言い、近所のラーメン屋の「営業中」の札の「中」の下にマジックで「止」などと書いて個人的な鬱屈を晴らすなんてことは別にしてない。いやほんと。

そうすると9番ギュスターヴしか頭がなくなってしまう。
もちろんそれも潔い。男らしい買い方だ。一頭にすべての夢を。でも教訓。

しかし前のレース、惜しくも敗れている。悔しい。
今日のメイン、自分としてもレース的にも。もしもがあったら夜眠れない。熱が上がってしまう。パブロンを飲むには遅すぎる。
じゃあ内枠で、先行できて、なるべく強そうな馬にしよう。と、コメント、調教欄を何度も読む。でもそのうち頭がガンガンしてきて、じゃあもうムスカテールでいいか、と一回三連単フォーメーションの頭を二頭に決めた。
が、いかんせん時間がある。考えてしまう。
こんな馴染みの感じられない馬で果たして勝てるのか？お前は優馬という権力の犬なのか？

いや、ノンノン！お金は大事。考え直しだ。
トイレに行き、お茶をぐいっと飲んでまた立ったまま予想。もう倒れそう。

基本的にはギュスターヴが勝ってくれる。
でも、あと一頭だけ…。
するとなかなか調子が良さそうで、威勢の良い雰囲気の馬が。

4ルルーシュ

聞いたことがない。でも名前がかわいい。
上り調子で枠がいい。優馬も注目馬にしている（でも予想にはないんだよなあ）。よっしゃ、もう右も左もわかんなくなってきてるし、何番人気か知らないけどこれに賭けてみよう。

4と9が頭。

ふ、不吉だ…（じつは49は本来不吉でもなんでもないそうですよ）

ギュスターヴクライの惨劇を今思い返す。
今書きながらレース結果を見たら、なんてことはない、ルルーシュ二番人気。俺は自然と王道中の王道を頭にしていたらしい。もう電光掲示板を見るだけで目がチカチカして頭グルグルになるので確認もしなかった。

結果がこうやって確定した今、こんな風に書くのは面映い。
なんだか自慢したい子供のようで（実際そうだが）ちょっぴし恥ずかしいのだが、俺がマークしたフォーメーションはこうだった。

一着4 9
二着4 7 8 9
三着1 3 4 7 8 9 11

堅いと思っていた。多少荒れるなら三着だろう。
11番オーシャンブルーは有名な厩舎だし、名前も調教もいい。
外枠寄りで唯一入れた。3番はあのマイネルキッツの弟マイネルマーク。内枠だし、兄貴に似て長距離向きかな、俺も次男だしな、と、最後の最後に何となく追加。これで大穴狙った気になっているんだからおめでたい。
券売機に入れるとこれがちょうど予算ぴったり3000円。
ラッキー。ヘロヘロになりながらレース直前に何とか馬券を購入。オーロラビジョンの前の椅子になだれこんだ。