前しか見えない目玉をつけて1

マイルCSの予想華やかりしここネットケイバですが、土日と馬券が買えません。
私にI-PATというものは無縁です。実家住まいの風来坊（近所）、65億頭立て世界ダービーレース、テンでこけている私としては、落馬しなかっただけもうけもの。最後方ポツン死んだフリで、溜めに溜めた爆裂末脚を直線でどうお見舞いするか。それが人生のテーマとなっている次第です。超簡単に言うと金持ってない。クレジットカードと車の免許は大人へのパスポート、とどうしても思ってしまいますが、にっちもさっちもどうにもブルドッグだよ〜ん。と語尾を軽薄にしないとマジで泣きそうです。

えー、ほんとに何もしてなかったんです。
ちょっとした事情が十年前、まったくくだらない理由（直接原因じゃないそうです）で、二十歳直前身体に起こり、全然死にも染りもしませんが、かと言ってどこでどう診ても不分明。これがひたすら局所的痛みを伴うもので、24時間眠っている時以外休む暇がありません。
大学を留年し、出るには出ましたが、街に繰り出すでなし、友人と飲み明かすでなし。彼女！とイルミネーションを観にいくというようなことは考えるまでも無く。とにかく日々のどっとくる痛みと疲労の相手をしていたので、もうよく覚えていません。めまい、ふらつき、いつも風邪引いている様な感じです。すぐ熱が出ます。ついでに言えば、自律神経がどうのこうのなんて、実質何も言っていないのと同じだと思います。
就職活動というのは、おそらく何事もなくても全然やらなかったという確信があります。無謀でしょうか。でも入学する前からこの決意は固かった。

「これもできた」「あそこにも行けた」「あれも読めた」「これも見れた」…たら、ればのオンパレードを抱えたまま東京の大学から実家へ戻ってきました。そんなに昔の話ではありません。
それから三年くらいでしょうか、なんとかかじりついて一冊の本を一ヶ月以上かけて読んだり（一ページ読むのが苦痛で苦痛で）、なるべく映画を借りて観る、音楽を聴く以外には、友人、知人ともほぼ面会は無く、たまに用事で上京する際自分の後輩に当たる唯一無二の親友とだけは連絡を取っていましたが、携帯電話を持っている必要性に疑問をいつも感じていました。
ちなみに、今でもガラケーというあの二つ折り。もちろん携帯でネットなどはしたことがありません。無ければ無いなりに過ぎて行きます。別に誰が後ろ指を指すことでもありませんから、何も考えずに今日に至っています。方向感覚が遠い目をしたくなるほどにありません、ですのでスマートフォンの地図、ナビゲート機能は便利だなあ。と、思うだけ思っています。

ネットの発達、こういったソーシャル・ネットワーキング・サイトの登場によって、ずいぶん救われたというか、言葉の上でのやりとりは、部屋にいながらにして可能であり、そこでは比較的あらゆる上下の差が小さかったこともあり、今でもいい時代になったなぁと感慨深いものがあります。

つい去年の夏でしょうか、以前のように部屋をのた打ち回るような時間も減ってきた感覚があり、ポツリ、ポツリ、おずおずとアルバイトを始めてみました。
履歴書を持ってスーツで面接に行くようなところは綺麗さっぱり落とされました。職歴の空白のまぶしいこと。具体的なコンピューターなどの即戦力スキルがあるわけでもありませんでした。行動が原付なので、移動範囲が迫られるというのもあったかもしれません。
何をじゃあやっているんだお前は、と言われると、言わぬが花なんじゃないかという気もしますが、おおむね肉体労働、簡単な接客と思っていただければ。
しかし世の中に「誰にでもできる簡単なお仕事」というものは存在しません。「自分にしかできない」だったらあると思います。
バイト先では、自分の状態は一言たりとも言外せず（言い訳にしかなりません）、とにかく前だけを見て一日、一日を、月にすると結構バイトしている高校生より少しマシ、くらいのギャランティーで過ごすようになりました。これでも大進歩です。たまには古本でなく新刊本を買う余裕も生まれてきました。

「波が収まるのを待っていては、永久に船は出せない」
というイギリスの諺があります。もうこれで行くしかない。このままの状態でありながら、たとえ仕事、途中で砕けそうでもひどい注意をされても、今までに比べればずっと楽しいことに気付きました。人間は、人の役にたってなんぼです。
世の中には色々な事情を持った人々が、それぞれの理由で毎日を生きていることが肌で感じられました。もちろん拘束時間は長く、肉体的にはかなりきついものが多いですが、毎日ではないし、自分なりに目標を持って続けようと今日ここにいます。