たちつてとーるさんへの返信2

覚えていますが、僕が初めてAVなるものを借りて、そういった桃色遊戯の活動写真、いわゆるモーション・ピクチャアですね、それを観たのは、何を隠そう21歳のときです。兄弟とともに、やっと上京できたからです。
考えたらまだ十年も経っていません。書いていて自分で自分にびびります。
当時のAVはまだまだモザイクが琵琶湖のように広く、肝心なときに何がなんだかさっぱり訳が分からないというような状態で、現在のこの、検索すれば何もかもあけっぴろげズドドーーン！！な世相を見ると、プラタナスの枯葉など、つい30分くらい体育座りで見つめてしまうのですが、ではひるがえって、浪人（僕も浪人していました）していたあの時、自分のPCがあり、アイフォーンなどというものまであり、動画なども見放題だったら、どうだったのかな？と考えると、たぶんすっげえ嬉しかったと思います。おい。しかし、と同時に、考えが散漫になって、ひとつのことにろくに集中できなかった可能性が高いな、とも思います。

浪人の頃、部屋にはテレビもパソコンも、当時はもう当たり前になっていた携帯電話すらもありませんでした。大学入学と同時に携帯電話を初めて持ちましたが、何か、いつ鳴るのか気になって気になって、最初はかなり持て余していたように思います。ちなみに今でも僕はガラケーで、携帯でネットをしたことがありません。終電など調べたり、知らない街を歩くときなど、とても役に立ちますね。あればあったで使うでしょうが、あまり携帯を持つ意義を感じられない人生を送っているということも、多少関係していますでしょうか…。
その分少ない情報量の中から、「妄想力」を駆使してとんでもないアイディアを生み出せる可能性が極めて高い（といいなー）。本が一冊しか買えなかったとしても、その一冊をもう穴が開くほど繰り返し読みます。映画一本、おろそかに観ません。情報が過多になり「あれも面白いよ、これもどう？」と毎日怒涛のようにエンターテインメントに追いかけられていたら、何もかもが中途半端になっていたかもしれない、という思いは、個人的に強くあります。小学生が外国人の劇的な動画なんか観たらトラウマになっちゃいそうですね。

しかし、何が一番言いたいのか。
それは、「外的に縛られた人間ほど、自分の可能性や、自分自身、内側の世界の広さについて、深く考えることができる」この一点に尽きます。

それは、必死に屈んで屈んで、大ジャンプする機会を待っていた人間に対する、天からのナイスなご褒美です。
ご子息に彼女は、大学生活の中で自然に素敵な出会いがあるでしょう。そこからが、今までのありがたい束縛から解き放たれた、己を知る男の真骨頂を見せるときです。間違っても僕のことは訊かないでください。飲み会で恋愛の話に結局なるんですよね、あれがつらかった、とだけ申し添えておきます。しかし人は当然ながら一人ひとり、違います。僕のようなよくわからん生命体も時には生まれるってだけの話です。ははははははは。

関係ないですが、今日はバイトで皿なんか洗ってまして（もう本を一冊書きます、そのあたりの事情は）、「あ、これ俺の仕事じゃねぇな」とようやく気付き、一区切り付いたところで「帰ります」と言って脇目も振らず帰ってきました。関係各所にお詫びの電話をしまくりましたが。
なぜこの俺が「君なんで車の免許持ってないの？」などの「ほっといてよ！」的な話題や「大杉さんて彼女いたことあるんですか？」とマジな目で訊いてくる年若のバイトの相手をしていなけりゃあ、ならないのでしょうか。それはそれですんごく適当なことを返すのが好きで好きでたまらないんですが。写真というのが苦手で、「写真を撮る」と言われると「いや、あの、写真を撮ると魂が抜かれるんで」と明治時代の迷信で切り抜けようと画策したりしています。
やはり、家に帰ってパウル・クレーの画集を眺める方が性に合っています。生きていけないという結構やばめな空気もひしひしと張り詰めていますが、ゴーイングマイウェイ。もっと孤独になりたいです。

時計を見ると二時間経っています。楽しい二時間。
人生でこんなに日記にコメントがつく、というのは前代未聞、空前絶後、盗んだバイクで天城越え、なミラクル確率変動大フィーバー状態でして、ついうれしくてこんな風になっています。色んな人がいますね世の中。


私的なコメントに対する返信を日記で公開させていただきましたが、もし失礼がございましたら即削除させていただきます。おつきあいいただきまして、本当にありがとうございます。これからも、よろしければ、よろしくお願いいたします。