296件のひとこと日記があります。
2012/12/24 20:17
東京ゴッドファーザーズ
こんばんは!
クリスマス・イブの夜、いかがお過ごしでしょうか。
家族とワイワイ、恋人としっとり、一人部屋で般若心経を写経しながら大五郎、ビルのはるか屋上からぼんやり道路を見つめていたり!…おいおい早まるなっての!
今日は、クリスマスになると必ず観る映画について書きます。
いやぁ、今年の競馬が無事、最後までレースを終了したようだ。
オルフェーヴル、ジェンティルドンナ、ギュスターヴクライ、ネコパンチ、強いぞおっさんトウカイトリック、そして有馬のゴールドシップ(個人的にはルーラーシップ)…今年を振り返れば、各々の心の中に、数々の手に汗(熱い汗か冷や汗か?)握る激走がプレイバックされるはずだ。こんな年に競馬を始められるというのはまったくの果報者で。年間通しての配当は、自分内株主総会がただいま紛糾に次ぐ紛糾、怒号と罵声とポップコーンとジェット風船が飛び交い、カオスです。誰かが「六甲おろし」をどさくさにまぎれて歌っている。
今日の競馬には行かず。有馬で最後のレースとなった。
これも一種の「勝ち逃げ」か。はは、は。
午前中から兄夫妻が、生まれたばかりの赤ちゃんを連れてやってきた。東京からは妹たちが帰省、家は一気にパーティーモードへ。赤ちゃんの写真を携帯で撮りまくったり、ぱちくりお目めを見てしまったら、もうこりゃメロメロ、男の戦場へは行けない(あ、美しい女性競馬ファンのみなさますいません!)。鍋を囲みながらよもやまの話に興じる。
阪神Cだけ、オリービンの複勝にいくらか入れて遊ぼうかな、と思っていたんだけれども、結果を見て肝を冷やした。赤ん坊がさっそく福を招いてくれたなぁ。ザ・冬馬ガルボが激走。もう人気になってしまって、この先14番人気などで買える機会は、あったかくなるまでないだろう。今日買った人、それが先見の明ってやつですね。ギャンブルってやつなんですね!今度狙えるのは「寒いっちゃー寒いけど、もう季節的には温暖であることよ」と詠嘆するような、微妙な時期になるであろう。
さて、「東京ゴッドファーザーズ」というアニメーション映画を知っているだろうか。
監督は気鋭のアニメーター、監督である今敏(こん・さとし)。
北海道が産んだちょっとしたミラクルだ。
この映画を知ったのは5年前。ちなみに公開は2003年だ。
97年に監督として世に出てから3作目となる。
もっとも、今敏監督の作品は全部で4作しかないのだが。
2010年、46歳の若さで急逝。
ショックだった。スタジオジブリの新作より耳をそばだてて最新作の情報を待っていた。5作目の途中で、物語は止まったまま。遺志を継いだスタッフが製作を続行しているというが、公開時期など一切不明。
最後までブログを、更新し続けた。今でもオフィシャルサイトで読むことができると思われる。
この、最後の文章には、ジャンルを超えた一読の価値がある。もし興味を持たれた方は検索してみてもらいたい。
俺は、ハッピーエンドが好きだ。
それは、人生の必然であると信じている。
この、一編のクリスマス・ムービーは、あれやこれや起きるすべてが、ただひとつのエンディングに向かって、ひとつひとつ、絡まりあって繋がっていく。それは、
「すべては、最後の最後に、うまくいく」
というメッセージ。
今日兄の、生まれて一ヶ月に満たない小さな命を見ていて、改めて思った。「この子の人生に何が起ころうとも、かならず最後の最後でハッピー・エンドになるよう、俺は彼の物語の登場人物の一人になろう」と。
主人公は、ホームレス三人。
これだけで、いかに今敏という人物が特異な物語感覚を持っているのかが分かる。全国に公開されるクリスマス・アニメの主人公がホームレス?
おっさん、オカマ、家出女子高生。
様々な事情をそれぞれに抱えた三人組が、クリスマスの夜、偶然捨て子を拾うところから物語は始まる。
それから、母親を捜すロード・ムービーへと話は繋がっていく。この赤ん坊はどうなってしまうのか、無謀な母親探しの旅は、どうなるのか、三人には、どんな運命が待ち構えているのか。
コメディタッチで描かれる、幸福の物語。
登場人物は、特に何も考えずに、思うがままに行動しているだけだ。ところが、この赤ん坊が…あとはぜひ、観ていただきたい。
後輩が借りてきたものを、一緒に彼の部屋で観て以来、年に一度、このクリスマスの季節には、必ず観て、今年で6年目になる。今日や明日、借りようと思っても、貸し出し中である確率が非常に高い。だからいつも観るのは「クリスマス周辺」になってしまうのだけれど。観れば毎年、毎年、最後に涙がこみ上げてくる。いい映画なんだ。
日常に潜んでいる、何気ない奇跡に、多くの人が気付き、とんでもなく、信じられないほど幸せになりますように。
メリー・クリスマス