Help each other.

ヘルプィーチアザーは誕生前から非常に思い入れの強い馬でした。

母ラヴエトセトラが誕生してすぐに、相手バロックさんところのエターナルボンドと決めていました。
というのも、先代どうしを配合するつもりが血が濃すぎて断念した経緯があります。

そして2頭共引退間近となったある日…あの震災が起きました。
私は京都に住んでいるので被害は無かったのですが、バロックさんは大変な被害に遭われました。

無理は言えない。
そんな状況ではない。
連日流れるニュースに心傷める日々…。

そんな時、私の所に宅配物が届けられました。
バロックさんからでした。
開けると沢山のクッションが。その中から出てきたのが…上の写真の作品でした。
添えられた手紙には、2頭の子が産まれるのを楽しみにしていた事、その日の為に作っていた事、そして震災の事…。
この作品が届かないかも…届けられないかも…と。

涙が出ました。
その時、新たに産まれる子で何か伝えられないかと思いました。

そして迎えた誕生の日、3月23日。

父:エターナルボンド
(Eternal bond 永遠の絆)
母:ラヴエトセトラ
(Love etc.愛など)

…ならば、阪神大震災を知るものとしてこれだけは伝えたい。そんな思いからつけた馬名が、
ヘルプィーチアザー
(Help each other 助け合う)
でした。
手の届く人々で助け合う事が、復興への一番の近道だという事を伝えたかったのです。

産まれた子の能力は厳しいものでした。しかし走る事で伝えたい。なんとかオープンまででも…。

しかし、チアはそんな僕の危惧を払ってくれました。
常に持てる以上の能力を発揮し、メッセージを送り続けてくれました。
それだけでなく、小さな力でも一生懸命すれば結果が出る事を伝え、証明してくれました。

引退後に能力を見てもらえば、説明できない程の結果を残していることに驚かれると思います。
全での能力です。

今日、チアはラストランを迎えます。
僕からの、そしてチアからのメッセージは血と共に繋げていくつもりです。

今日は指示せず、全てチアに委ねようと思っています