１２回目の３・１１〜後編〜

１４時２０分。

私たちもその多聞山展望広場公園から案内板に従い、山の中腹に降りてく。ところどころに、春の陽気に咲き乱れた紅梅を見ながら、日本三景松島が眼下に広がる毘沙門堂に移動した。

意外にも誰も居なくて、２人きりでその時を迎えることに。
眼下の透き通った海にゎ、代ヶ崎浜があって、その波止場の突端にゎ年配のご夫婦らしき姿が見えた。私たちと同じく、鎮魂の時間を待っている様子だよ。

１４時４６分。
防災無線からサイレンが鳴り、１分間の黙祷。

「無念でしたでしょうに…どうか安らかにお眠りください」
そんなことしか祈れない…
私たちゎ神様のリストから外されて生きてる。

今年もカレと２人でこの時間を迎えられたことに感謝。
みんなが忘れてしまっても、私たちゎ忘れない。あの日、２万２千人もの命が失われたことを。

黙祷を終えて、カレと代ヶ崎浜に降りて波止場で海の風を浴びる。
あの日と違って、暖かくて青空が広がっているよ。

目の前の海ゎこんなに穏やかなのに…


(おしまい)