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2025/08/19 16:00

107回目の夏の物語・終

8月17日(日)


2点を追う延長タイブレーク十一回裏、2死三塁。仙台育英の左腕・吉川陽大(あきひろ・3年)は打席に立つと、涙が止まらなくなった。

夏の全国高校野球選手権三回戦。
沖縄尚学対仙台育英の試合は、今大会屈指の両左腕エースの対決となった。
無失点記録を更新し続ける沖縄尚学の末吉(2年)から仙台育英が3点を取って苦しめれば、仙台育英の吉川からも沖縄尚学打線が3点を奪っての延長戦。151球を投げ終えた吉川は、十一回表に2点を失い土壇場に追い詰められていた。

本当なら代打を送られてもいい場面で、仙台育英・須江監督は吉川をそのまま打席に送ったのだ。

吉川の目は涙で真っ赤になっていた。
「打力に自信のない自分を送り出してくれた須江先生(監督)への感謝と、仲間の顔が浮かんで…」。
8球粘ったフルカウントから、一、二塁間へ強い当たりを打つも二塁手が捕球し、素早く一塁へ。一塁手が喜ぶ姿が目に映った。それでも頭から飛び込んだ。そしてそのまま立ち上がれなかった。
「あの時、バッピ(バッティングピッチャー)をしてくれたのに…」
「控えの選手がサポートしてくれたのに…」という仲間への感謝と悔恨の思いで、立ち上がれなかった。

試合後のベンチ前、女房役の川尻結大捕手(3年)と最後のキャッチボールを行った。2人が甲子園で交わした公式の球数は344球。クールダウンを終えた吉川の頭をなでながら、川尻が言った。
「お前がいたからここまでこられた。お前は泣くべきじゃない」。

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「最後の最後まで粘り強いプレーをありがとう。仙台・東北の心がひとつになる瞬間をありがとう。最後の打席での涙に、これまでの皆様の計り知れない努力、甲子園に懸けた想いを感じ、胸が熱くなりました。胸を張っておかえりなさい! 仙台の地で待ってます」

〜仙台藤崎百貨店の公式X(旧Twitter)より〜

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