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2015/09/12 01:37
不定期連載小説 「マスク・ド・ジョッキー」
(はじめに)
新しいシリーズを書きますが、これはヒマなときにしか書きませんのでいつ書けるかは私にもわかりません(^_^;)
小説のまねごとのようなものを書かせていただきます。
「マスク・ド・ジョッキー」
第1回 「中村慎介とその師匠」
最終レースが確定した。
7番人気であった栗毛の牡馬モンテビデオを5着に入線させ、1万数千円ほどの進上金をゲットすることに成功した鞍上の若手騎手は、安堵とも悔恨ともいえないような中途半端な表情を浮かべながら装鞍所に引き上げてきた。
「もう少し前に行けたら2着もあったかな...まあ、3戦続けて二桁の馬に賞金とらせたんだから、まあいいか( ̄。 ̄)」
若手騎手の名は中村慎介、デビュー5年目の騎手である。
新人の年に25勝して将来を嘱望されたものの、減量が取れてからはなかなか勝てなくなり、前の年は12勝しか挙げられなかった。
慎介が所属する浜田兵吾厩舎は関東地方に数ヶ所の競馬場を有する東日本競馬組合の一厩舎であり、慎介の師匠である調教師、浜田兵吾は元プロレスラーという一風変わった経歴の持ち主である。
「若手時代のジャイアント馬場と闘って引き分けたことがある」というのが浜田の武勇伝であるが、運悪くその試合で右膝の皿を割ってしまい、レスラー生命を断たれたしまったのだそうだ。
浜田はレスラー稼業から足を洗った後、東日本競馬で競走馬を走らせていたタニマチの口利きで厩務員として某厩舎に潜り込み、20年ほど厩務員をした後、調教師試験に8度目の挑戦で合格、6年前に自らの厩舎を構えた。
その1年後に浜田厩舎初の所属騎手として入ってきたのが慎介である。
(つづく)
※登場する個人および団体名はすべてフィクションです