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2015/09/12 20:51
マスク・ド・ジョッキー(第2回)
こんばんは(*・∀・*)ノ
不定期連載小説「マスク・ド・ジョッキー」の第2回を書かせていただきます。
第2回「ヘタレ騎手」
「シンスケえぇぇぇぇぇ!!」
後検量を終え、鞍を抱えて装鞍所の奥にある騎手の控え室に戻ろうとした慎介の後ろから割れ鐘のような怒声が響き渡った。
「慎介!オマエ何度言ったらわかるんだ!あんなヘタレな乗り方しやがって(*`Д´)ノ!!!」
慎介の師匠、浜田兵吾であった。
「先生(゜ロ゜;ノ)ノ!.....」
いきなりの怒声に腰を抜かした慎介ははずみで鞍を落としてしまい、鞍は派手な音を立てて浜田の足下に転がっていった。
「なんでハナを主張しないんだ!モンテビデオは逃げてこその馬だってわかってるだろ!」
「行き脚がつかなかったんです」
「一完歩目が遅くたって出ムチをかましたらハナを奪えるだろ?今日のメンバーなら(`´)!なぜ出ムチをかまさなかった?」
「....ここんところ強引にハナに行って終いの脚をなくしてたから...今日は控えたほうがいいかなって...実際5着拾って賞金とったんだからいいじゃないで...」
「バカヤロー(*`Д´)ノ!!!
競馬は優勝劣敗の世界なんだ!勝てなかったら2着も着外も同じなんだ!騎手っていうのは勝つために馬に乗らなきゃならねえんだ!オメー、江田嶋が派手に出ムチかましてハナに行こうとしたもんだからビビって行かなかったんだろ?」
最終レースを勝ったのは強引にハナを切ってそのまま押しきった9番人気の馬で、江田嶋とは勝った馬に乗っていた東日本競馬のトップジョッキーで、強面で知られる江田嶋正洋のことである。
「いや、そんな....だって江田嶋さんの馬に競りかけるのってヤバいですよ、モンテビデオが潰されますよ」
「潰されるのが怖かったのは馬じゃなくてオメー自身だろ」
「そうじゃないっすよぉ(/。\)」
「モンテビデオはハナに立たなきゃ気分よく走れねえのを分かっていながら江田嶋の気迫に呑まれやがって(`´)、今度あんな乗り方したらオメー、クビにすんぞ!わかったかこのヘタレ野郎!」
怒り心頭の浜田は慎介にヘッドロックをかけながら怒声を発し続けていた。
「い、痛い痛い痛い!先生痛いって!わかりましたから離してください〜o(T□T)o」
元プロレスラーのヘッドロックをまともに食らっているのだから堪らない。慎介は頭蓋骨が破壊されたかと思うほどの激痛にのたうち回りながら師匠に詫びをいれ続けるしかなかったのであった。
(つづく)