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2015/09/13 10:53
サイレンススズカの話(その22)
おはようございます。
「サイレンススズカの話」の第22話を書かせていただきます。
1998年11月1日、圧倒的1番人気で天皇賞秋に出走したサイレンススズカ、1000m57秒4のハイペースで逃げ、第3コーナーそばの大ケヤキの前を通過したあと、突如失速します。
☆サイレンススズカは明らかに左前脚を痛めていました
他馬の邪魔にならないよう外ラチまで退避したサイレンススズカ、鞍上武豊がすぐに下馬して愛馬の脚を心配そうに見つめていました
サイレンススズカは左前脚の手根骨を粉砕骨折していました。
簡単に言うと膝の骨が粉々に砕けてしまったのです
手の施しようがありませんでした
予後不良と診断されたサイレンススズカ
激痛に苦しむ彼を楽にするには、彼の命の火を消す以外にはありませんでした
1本の注射が用意されました
1998年11月1日、サイレンススズカは天へと駆けあがっていきました
レースを勝ったのはオフサイドトラップ、史上初の8歳馬(旧表記)による天皇賞制覇でした
2着ステイゴールドとの馬連は万馬券になりました
でも、観衆の中にそのことに注目していた人はほとんどいませんでした
14万人もの人びとが、ただその場に立ち尽くしていました
誰もがサイレンススズカが走れなくなったという事実を受け入れられませんでした
皆がサイレンススズカを見失ったのです
「原因はわからないんじゃない、ないんだ!」
レース直後のインタビューで周囲に当たり散らすように声を荒げた武豊はその日の夜、突如行方をくらましました
武豊はバーにいました
ワインを浴びるほど飲んでいました
彼はその夜、生まれて初めて泥酔しました
泥酔しながら泣いていました
橋田満調教師はその日のうちに厩舎に戻ってきました
橋田師はサイレンススズカの馬房の前にいました
もう主が帰ってくることのない馬房の前で崩れ落ち、泣き続けていました
今回はここまで、今夜完結編を書かせていただきますm(__)m