ウオッカの話(第５話)

こんばんは(*・∀・*)ノ

「ウオッカの話」の第５話を書かせていただきます

２歳女王として臨んだ2007年のクラシックシーズン、前哨戦を快勝して圧倒的1番人気で桜花賞に臨むこととなりました

☆2007年4月8日、桜咲き誇る阪神競馬場で第６７回桜花賞が行われました。

1番人気 ウオッカ(四位) 1.4
2番人気 アストンマーチャン(武豊) 5.2
3番人気 ダイワスカーレット(安藤)5.9

2歳女王ウオッカが圧倒的1番人気に推され、阪神JFでウオッカと激闘を繰り広げたアストンマーチャンとチューリップ賞で差のない競馬をしたダイワスカーレットがやや離された形で上位人気におさまりました。
4番人気ショウナンタレント以下の単勝オッズは30倍を越えており、この年の桜花賞は上位人気の3頭が人気を独占する形となりました。

レースは14番人気アマノチェリーランをアストンマーチャンとダイワスカーレットが追いかけ、ウオッカは中団の外目に位置取りました。
800m通過タイムは47秒8、阪神外回りコースになって初めての桜花賞でしたが、かなりのスローペースとなりました。

超スローが影響したのかアストンマーチャンは掛かり気味でしたが、ウオッカもダイワスカーレットも道中は我慢して脚を溜めていました。

第４コーナーを抜けて直線に入り、ダイワスカーレットが先に動きました。
ウオッカもダイワスカーレットに合わせてスパートを開始、直線半ばで先頭に立ったダイワスカーレットを捉えにかかります。

しかし差は縮まりません。
そのうちウオッカが追走に苦労し始めました。
阪神JFで見せた爆発的な末脚は影を潜めてしまいました。
結局ウオッカはダイワスカーレットから1馬身半の差をつけられての２着、第６７代桜花賞馬の称号はダイワスカーレットが手にすることとなりました。

ウオッカにはフケ(発情)の影響が少しあったそうですが、それを差し引いても今回の敗戦は思いもよらない完敗でした。

ダイワスカーレットの鞍上安藤勝己騎手はレース前に「ウオッカと追い比べをしたらこちらに分が悪い。勝つにはウオッカより早く抜け出して馬体を併せないことだ」と考えていたそうです。

アンカツさんはチューリップ賞でウオッカの脚を計っていたのです。
ダイワスカーレットの勝利はアンカツさんの的確な判断によるものでもありました。

一方、敗軍の将となった角居勝彦調教師はウオッカの敗因を別なところにあると見ていました。

チューリップ賞を勝ったことで「これで同年代の牝馬との勝負付けは済んだ」と判断した角居師率いる陣営は「桜花賞からダービーへ行く」ことを既定路線としていました。

角居師はチューリップ賞の後、ウオッカに「我慢させる競馬」を覚えさせるための調教を課していたそうです。
それはダービーへ向けての体作りの一環でした。

つまりウオッカに「勝負所でスパートする競馬」ではなく「長くいい脚を使う競馬」をするための訓練をさせたのです。
それは府中2400を乗り切るための訓練でした。
桜花賞でウオッカは阪神1600の競馬ではなく府中2400の競馬をしてしまったのです。

桜花賞の敗因は「同年代の牝馬には負けるはずがない」と思ってしまった陣営の心の隙にあったのです。

桜花賞の敗戦により、ウオッカのダービー挑戦のプランは一旦白紙に戻りました。
谷水雄三オーナーは思わぬ完敗に意気消沈する四位洋文騎手に「オークスで頑張ってリベンジしろ」と声をかけたそうですが、言葉とは裏腹に谷水オーナーはダービーへの思いを捨てきれませんでした。
思いが捨てきれないのは角居師も同じこと、自らの慢心が桜花賞敗戦の原因となってしまったことを重く受け止めていた角居師でしたが、悔いののこる敗戦が余計にダービーへの思いを強くしていました。

桜花賞から数日経った頃、角居師は谷水オーナーに電話をかけました。
ダービーとオークス、どちらに出走登録するかの指示を仰ぐためです。

「オーナーはどちらへ行くべきかとお考えですか？」

角居師の問いに谷水オーナーは....

「君に任せるよ」

それだけしか言わなかったそうです。

オーナーの言葉に角居師は決心しました。

「ダービーへ向かいます！」

角居師はウオッカをオークスには登録せず、ダービー制覇に向けて退路を断って臨むこととなりました。



※今回はここまでとさせていただきますm(__)m