ナリタブライアンの話(第１５話)

こんばんは(*・∀・*)ノ

「ナリタブライアンの話」の第１５話を書かせていただきます

股関節炎発症のために天皇賞春を回避し、休養に入ったナリタブライアンでしたが、夏を過ぎて秋シーズンが到来しても彼の調子は上がってきませんでした

☆1995年9月、函館競馬場に滞在していたナリタブライアンは栗東トレセンに帰ってきました
しかし彼の調子は最悪なままでした

栗東でも体調が悪いままで、軽い運動しかできないナリタブライアンに競馬関係者やマスコミは「これでは天皇賞秋は使えそうにない。回避するだろう」という見方が大勢を占めていました

しかし10月29日、第１１２回天皇賞(秋)が行われる東京競馬場のターフにはナリタブライアンの姿がありました

1番人気 ナリタブライアン(的場)2.4
2番人気 サクラチトセオー(小島太)5.3
3番人気 アイリッシュダンス(武豊)5.5
4番人気 ジェニュイン(岡部)7.4

約7ヶ月の休み明けでありながら1番人気に推されたナリタブライアンの鞍上には主戦騎手である南井克巳騎手ではなく、的場均騎手の姿がありました

南井騎手は天皇賞秋の2週前に落馬事故で全治4ヶ月の重傷を負ったために騎乗が不可能になっていたのです
当初、南井騎手の代役には松永幹夫騎手が予定されていましたが、松永騎手が主戦を務めていたマイシンザンが他馬の回避により出走可能となったために、松永騎手は騎乗を辞退しました
(ちなみにマイシンザンは天皇賞秋当日に屈腱炎を発症してしまい、出走を取り消しました)
そこで陣営は、天皇賞秋では騎乗馬がなかった的場騎手に声をかけ、騎乗してもらうことにしたのです

レースはナリタブライアンにとって最悪なものとなりました

好スタートから道中４番手につけたナリタブライアンでしたが、直線に入ってから完全に脚が止まり、１２着という生涯最悪の着順にとどまってしまいました

ナリタブライアンはまだレースに使える状態ではなかったのです

体調が最悪の状態でありながらナリタブライアンを天皇賞秋に出走させ、惨敗させてしまった陣営、特に出走を決断した大久保正陽調教師には非難の声が多数あがりました

「競馬の神様」大川慶次郎氏は...

『あれだけ状態が悪いのだから出走は自重するだろうと思っていたが、間違いは調教師の見識にあった。あれだけの馬を調教代わりにレースに使うのは間違いだ！」と激しく大久保師を非難しました

また、天皇賞秋ではジェニュインを２着に導いた岡部幸雄騎手は...

『一時期はナリタブライアンはシンボリルドルフを超えたかな、と思うこともあったが、ああいう使い方をするとミソをつけてしまう。あれだけ強かった馬の価値を周りの者たちが「ただの馬」にまで下げてしまった」と語ったそうです

岡部騎手は最後に「結局、日本人の感覚ってそんなものだろうね...」と語り、やりきれない気持ちを吐露していました

しかし....

一連の批判に対して大久保師がとった行動は「今後はナリタブライアンの体調に関して一切コメントせず、取材も受け付けない」というものでした

まるでナリタブライアンの体調と比例するように、大久保師とマスコミの関係は険悪なものになっていきました




※今回はここまでとさせていただきますm(__)m