ナリタブライアンの話(第１７話)

こんにちは(*^-^*)

「ナリタブライアンの話」の第１７話を書かせていただきます

股関節炎発症を端に、正にどん底の状態にまで落ちてしまったナリタブライアン

そうして迎えた1996年、復活を期するナリタブライアンと陣営は始動戦に阪神大賞典を選びました

☆１９９６年３月９日、阪神競馬場で第４４回阪神大賞典が行われました

1番人気 マヤノトップガン(田原)2.0
2番人気 ナリタブライアン(武豊)2.1
3番人気 ハギノリアルキング(藤田)9.2
4番人気 トウカイパレス(佐藤哲)12.2
5番人気 ノーザンポラリス(的場)31.1

1番人気に推されたのは前年の菊花賞と有馬記念を制して年度代表馬となったマヤノトップガン、ナリタブライアンは差のない2番人気となりました
他にも日経新春杯の勝ち馬ハギノリアルキングや前年の菊花賞２着トウカイパレスらが出走していましたが、単勝オッズの上では『２強』の構図となりました

９番人気スティールが引っ張る1000m通過タイム63秒0の緩い流れの中、ナリタブライアン６番手、斜め前方にマヤノトップガンを見る形でレースを進めていきました

レースが動いたのは第４コーナー入口
マヤノトップガンが楽な手応えのまま一気に先頭に立ちました
これに呼応するかのようにナリタブライアンも進出を開始、直線入口ではマヤノトップガンと馬体を併せる形となりました

並んだままスパートする２頭
後続との差は開くばかりです

残り２００m
まだ両馬は並んだまま

残り１００m
まだ並んだまま

残り５０m
両馬一歩も引きません

両馬は並んだままゴール板の前を駆け抜けました

写真判定になりましたが、ナリタブライアンがマヤノトップガンをハナ差だけ抑えて１年ぶりの勝利を飾りました

後年「名勝負」とも呼ばれた前年の年度代表馬との叩き合いを制しての勝利、土曜日の開催ながら阪神競馬場に詰めかけた５万６０００人の大観衆はナリタブライアン勝利に沸き返り、復活したシャドーロールの怪物に惜しみ無い拍手を送っていました

しかし....
関係者たちはナリタブライアンが復活したとは思っていませんでした

☆武豊のコメント
「勝った瞬間は鳥肌が立ちました」

(後日、雑誌のインタビューに答え)
「勝つには勝ったが、物足りない部分もありました。僕が本当のブライアンの姿をもう一度引き出してあげられたらよかったんですが...」

☆田原成貴のコメント
「あくまでも天皇賞春の前哨戦、トップガンの仕上がりは７〜８分、そんなデキで叩きあったって名勝負とは言えない。上がりだけのレースだった」

「もしブライアンが本調子だったら、トップガンは７〜８馬身チギられていたよ」

☆大川慶次郎氏の見解
「ナリタブライアンの本領はゴーサインを出されてから並外れた集中力を発揮して他馬を大きく引き離すところ。それができなかったから(阪神大賞典は)接戦になった。あのレースを名勝負というのは、ナリタブライアンを知らない人が言うことである」


つまり、勝ったナリタブライアンはメイチの競馬をして
負けたマヤノトップガンは７〜８割のデキでしかなかった

ナリタブライアンは勝たなければならなかったがマヤノトップガンにとってはあくまでも天皇賞春へのステップでしかない

ナリタブライアンは復調してきていましたが、復活したわけではありませんでした

そして何よりも彼を苦しめたのは
彼の「過去」でした
あまりにも強すぎ
あまりにも衝撃的だった「過去」
人々はどうしても「過去」と比べてしまいます

現在のナリタブライアンがいくら頑張っても「過去」のナリタブライアンを越えられないのです

彼はそこまで弱くなっていたのです

ただし
ナリタブライアンが１年ぶりに勝ったことは紛れもない事実
陣営の人々は自信を取り戻しつつありました

そしてナリタブライアンは真の復活を遂げるべく、第１１３回天皇賞春(4月21日 京都芝3200m)に臨むこととなるのでした




※今回はここまでとさせていただきますm(__)m